冷えは万病の元、とはよく言ったもので、私自身、薬剤師としてだけでなく、リウマチを経験した一人としても、この言葉の重みを感じてきました。
定期的にいろいろな勉強会に参加するのですが、そこで必ずと言っていいほど話題に上るのが「冷え」の話。特に女性にとって、体の冷えは大きな悩みの一つですよね。私も冬はもちろん、ここ数年は夏も腹巻を手放せません。
でも実は、冷え対策は腹巻や湯船だけでは足りないんです。毎日の食事こそが、冷え解消の一番のカギ。この記事では、体を温める食材の選び方と、知らず知らず体を冷やしてしまう食習慣について、薬剤師としての視点と実体験からお伝えします。
「そもそもなぜ低体温だと良くないのか」「日々の習慣でどう体温を上げていくか」は、こちらの記事に詳しくまとめています。 低体温がダメな理由と体温を上げる方法-36.5℃の壁-
体を温める食べ物・冷やす食べ物の見分け方
漢方や食養生の世界には、「体を温めるもの」と「体を冷やすもの」という分類があります。
たとえば秋が旬の柿や梨は、体を冷やす食材。ただし乾燥した空気から喉を守ってくれる働きもあるので、一概に悪者ではありません。夏野菜のキュウリやゴーヤも同じで、暑い季節に体の熱を逃がしてくれる、理にかなった食材です。
逆に言えば、これらは冬には控えめにするのが賢い選び方。季節によって食材の「向き・不向き」があると考えると、毎日の献立が少し楽しくなります。
砂糖やお菓子類、白い小麦粉も体を冷やす食材の代表格。これは次の私自身の話にもつながってきます。
私が体を壊して気づいた「冷やす食生活」
実はリウマチを経験した際、振り返ってみると、当時の食生活はまさに体を冷やすものばかりでした。
朝は果物だけ。昼は菓子パン。夜はカップラーメン……。女性なのにそんな食生活をしていたの?とよく驚かれるのですが、本当にこれが日常だったんです(笑)。冷やすどころか、積極的に体に負担をかけていたようなものだったと、今なら思います。唯一の生鮮食品が、朝の果物だったくらいですから。
病気になってから、この食生活を見直し、体を温める食材を意識的に摂るようにしたところ、体が整っていく感覚を覚えています。もちろん食事だけがすべてではありませんが、「何を食べるか」が体調に与える影響の大きさを、身をもって知った出来事でした。
体を温める食材10選
具体的に、体を温めてくれる食材をご紹介します。

- ショウガ 体を温める代表的な食材。ショウガオールという成分が血行を促進してくれます。お茶やスープに加えると手軽に取り入れられ、殺菌効果のあるスパイスとしても優秀です。
- ネギ 特に白い部分に、体を芯から温める働きがあります。鍋料理やスープに。冬の鍋でとろとろになったネギは、甘みが増して本当に美味しいですよね。
- かぼちゃ 体を温めるうえに、ビタミンや食物繊維も豊富。煮物やスープが定番ですが、私はシンプルな煮物が好みです。
- ニンニク 血行を促し、代謝を高める働きが期待できます。炒め物やスープに少量加えるだけで、風味もぐっと引き立ちます。
- 黒ゴマ エネルギー補給と温め効果で知られる食材。スムージーやサラダのトッピングに。私はバナナと黒ゴマのスムージーをよく作ります。
- 鶏肉 温性のたんぱく源。特に手羽先やもも肉がおすすめで、スープや煮込み料理にすると体がじんわりポカポカになります。
- 山芋 体を温めながら消化も助けてくれる食材。とろろや炒め物に。皮をむいて軽く油で炒め、醤油とかつお節をかけるだけのシンプルな食べ方が、私は好きです。
- シナモン(桂皮) 血流を促進し、体を温めるスパイス。紅茶やデザートに少量加えるだけで、香りも楽しめます。
- くるみ ナッツ類の中でも体を温める働きが高いとされる食材。おやつやサラダのトッピングに便利で、私は砕いてサラダに散らすことが多いです。
- レンコン 血流を促し、特に冷え性の方には心強い食材。煮物やきんぴらが定番ですが、以前あるハンバーガー店で食べた「フライドレンコン」が、歯ごたえも良くて美味しかったです。
食材の「気」にも目を向けてみる
食材選びでもう一つ大切にしているのが、「気」の良い食べ物という考え方です。
以前お話をうかがったことのある、「菌ちゃんふぁーむ」の吉田俊道さんによると、虫は弱った植物を好んで食べるのだそうです。それと同じように、私たち人間も、強い土壌で育った栄養豊富な食材を選ぶことが大切、というお話でした。
「気の良い食べ物」とは、自然の力をしっかり受けて、生命力に満ちている食材のこと。東洋医学や自然療法で使われる考え方で、食材の持つエネルギーやバイブレーションのようなものを指します。選ぶときのポイントをいくつか挙げてみます。
自然に近い環境で育ったもの:農薬や化学肥料を極力使わず、自然のリズムに沿って育てられた野菜や果物、自然放牧の肉や卵など。
旬の食材:夏のキュウリやトマト、冬の大根やかぼちゃなど、その季節に必要な栄養やエネルギーを含んでいます。
土地で採れる食材:その土地の気候や土壌のエネルギーを持つ食材は、そこで暮らす人の体に合いやすいと言われます。「水が合う・合わない」という感覚に近いかもしれません。
手作りや自然発酵食品:味噌、醤油、ぬか漬けなど。腸内環境を整える働きとともに、エネルギーを与えてくれるとされています。
加工が少なく、新鮮なもの:カットフルーツや冷凍食品より、収穫してすぐの野菜や果物。
土壌が豊かな場所で育ったもの:栄養豊富で微生物バランスの良い土壌で育った作物は、ファイトケミカルやミネラルをしっかり蓄えているとされます。
丁寧に育てられたもの:作り手の手間と愛情がかけられた食材。
腸内も、土壌と同じように微生物のバランスが重要。腸内環境を整えることは、体全体の巡りにもつながっていきます。季節に合った、気の良い食材を選ぶことが、冷え対策にも自然と結びついていく、というのが私の実感です。
冷えは肌の調子とも関係している
体が冷えると血のめぐりが悪くなり、代謝やターンオーバーの働きも落ちてしまいます。これが、アトピー性皮膚炎や顔の赤みといった肌のコンディションとも関わっていると言われる理由です。会津医療センターの田原英一先生の勉強会でも、冷えを整えることでこうした肌トラブルが和らいだ例をうかがったことがあります。
余談:熱に弱い細胞の話
少し話がそれますが、がん細胞は正常な細胞より熱に弱い性質があることが分かっていて、これは「温熱療法(ハイパーサーミア)」という、放射線治療や薬物療法と組み合わせて行われるがん治療の根拠にもなっています(条件を満たせば保険適用となる治療法です)。
ただしこれは医療機関で専用の機器を使い、患部を狙って加温する医療行為。日々の食事で体を冷やさないようにすることとは、また別の話です。
こういうものもあるよ、ということをご理解いただいた上で体を冷やさない生活を心がけることには、意味があると私は思っています。
まとめ:食事から、冷え対策を始めてみる
冷えは、体のいろいろな不調につながるもの。腹巻や湯船も心強い味方ですが、毎日の食事を少し見直すことが、実はいちばん効果的だったりします。
四季のある日本だからこそ、季節に合った食材を取り入れることで、自然の力を借りた冷え対策ができます。今日の献立から、少しずつ体を温める食材を取り入れてみませんか。
ちなみに、こういったお茶類を入れる時のお水にも少し気を付けてます。
還元くんで作った還元茶を使うこともあります。また、使っているお水については本館の記事で詳しく書いているので、気になる方はどうぞ。

