CHICACHAN HOUSE本館ブログはこちらから 〉

「コーヒーをやめたらおならが止まった」友人の体験から気づいた、コーヒーとの向き合い方

コーヒーへの反応は人それぞれ

先日、友人から「コーヒーを飲むとおならが多くなる気がする」と相談を受けました。

詳しく話を聞くと「やめると止まる」とのこと。

この体感を入り口にいろいろ調べてみたのですが、はっきり言えることは3つあります。

①友人の体感は否定できないけれど、原因を一つに断定することもできない
②コーヒーへの体の反応が人によって違うのは気のせいではなく、ちゃんとした理由がある
③「話題だから」「みんなが良いと言うから」で自分に無理をさせる必要はない。

今日はコーヒーとの向き合い方について書いてみます。

目次

「コーヒーをやめたら止まった」——友人の観察から始まった疑問

友人いわく、コーヒーを飲む日はおならが多くなる気がする、でもやめると落ち着く、とのこと。

実際にコーヒーをやめたら症状が止まったというのは、本人にとっては確かな手応えのはずです。この体感を、私は否定するつもりはありません。むしろ「自分の体をちゃんと見ているな」と感じました。

ただ、「では原因は何か」までは、正直まだ言い切れません。ここから、私が調べて分かったことをお話ししていきます。

調べて分かった、コーヒー豆の「カビ毒」の話

友人が気にしていたのは、「ネットで見たんだけど、コーヒー豆についたカビの毒が、腸に何か影響しているのでは」という点でした。調べてみると、これは根も葉もない話ではありませんでした。

コーヒーの生豆は農産物で、栽培・乾燥・輸送・保管のどこかで湿気を含むとカビが生えることがあります。

CHIKA

ここで一つ整理しておきたいのですが、「カビ毒」と一言でいっても実は種類があって、よく混同されがちな2つが、オクラトキシンAとアフラトキシンです。

オクラトキシンAアフラトキシン(主にB1)
主に影響を受ける臓器腎臓肝臓
IARCの発がん性分類グループ2B(発がん性の可能性あり)グループ1(ヒトに対して発がん性あり)
汚染されやすい食品小麦・大麦・コーヒー豆などピーナッツ・トウモロコシ・スパイスなど
加熱への強さ焙煎でも分解されにくい通常の調理でも分解されにくい

どちらも自然界に存在するカビ毒で、「熱に強く、加熱調理では分解されにくい」という共通点はあるのですが、体への影響のかかり方は別物です。

コーヒー豆で主に話題になるのはオクラトキシンAの方で、実は日本の輸入検疫で実際にチェックされているのはアフラトキシンの方なんです(オクラトキシンAは国内でまだ基準値が整備されていません)。

そのうえで、日本の食品安全委員会はオクラトキシンAについてもリスク評価を行っていて、通常の食生活で摂取する量であれば、健康に悪影響を及ぼす可能性は低いと結論づけています。

「カビ毒」と聞くと身構えてしまいますが、実際は”ゼロか100か”ではなく、量として管理されているリスクなんですね。

豆を洗えば、カビ毒は落ちるの?

ここで、よく聞かれる疑問にも触れておきたいと思います。「コーヒー豆をよく洗えば、カビ毒も落とせるのでは?」というものです。

結論からいうと、水洗い(クリーニング)で落とせる量はごくわずかです。ある研究では、生豆のクリーニング工程で除去できたオクラトキシンAはわずかにとどまり、大きく減らせたのはその後の「焙煎」による熱分解でした。クリーニングと焙煎を経た豆に残っていたオクラトキシンAは、生豆に最初にあった量の約16%だった、という報告もあります。

イメージとしては、泥や農薬のように「表面についたものを洗い流す」というより、豆そのものにカビ毒が入り込んでいる、と考えたほうが近いみたいです。

では焙煎すれば完全になくなるのかというと、それも「ゼロにはならない」というのが実情。

焙煎による減少率は条件によってかなり幅があり、研究によって50〜90%台とばらつきがあります(高温・深煎りにするほど減りやすい傾向はありますが、条件次第で完全に分解しきらない場合もあります)。

つまり、「飲む前に豆を水洗いすればカビ毒対策になる」という方法には、今のところしっかりした根拠はない、ということです。

それよりも大事なのは、そもそもカビ毒ができにくい状態で栽培・乾燥・保管された豆を選ぶこと。カビの少ない豆を選ぶ、というのも、そういう意味では理にかなった選択肢の一つだと思います。

でも、それだけじゃない。コーヒーへの反応が人それぞれな、ちゃんとした理由

ここまで調べて、私が友人に伝えたのは「カビ毒だけが原因とは言い切れないよ」ということでした。実際、コーヒーへの体の反応は、カビ毒がどうこう以前に、そもそも人によってバラバラです。

シャッキリする人、気持ち悪くなる人、下痢をしてしまう人……薬局でも「コーヒーを飲むと調子が悪くて」というご相談を受けることがありました。これ、気のせいではありません。

カフェインを分解する酵素にはCYP1A2という遺伝子多型があって、代謝が速いタイプと遅いタイプでは、カフェインの分解速度に4倍近い差が出ることが分かっています。

分解が遅い体質の人は、同じ1杯でもカフェインの影響を長く受けやすい。

さらに、コーヒーの苦味成分クロロゲン酸には胃酸の分泌を促す働きや、腸の動きに影響する働きもあり、これが人によっては胃もたれや下痢につながります。

コーヒーとおなら

CHIKA

つまり「体質だから仕方ない」ではなく、「体質を知っておけば、自分に合った付き合い方を選べる」ということなんですよね。

ここで、私なりの推測も一つ添えておきます。

カフェインには胃腸ホルモン(ガストリンやコレシストキニン)の分泌を促したり、迷走神経を刺激して腸のぜん動運動を活発にしたりする働きがあることが分かっていて、これが人によっては下痢という形で表れます。

だとすると、下痢とまではいかなくても、腸の動きが活発になりやすい体質の方は、それがおならの出やすさとして表れている可能性もあるのではないか……と私は考えています。

友人の場合も、カビ毒うんぬんより、もしかしたらこちらの方が近いのかもしれません。あくまで私の推測の域を出ませんが、体質を考えるヒントの一つにはなりそうです。

「話題だから」で飲み続けなくていい——完全無欠コーヒーと私の話

ここで、私自身の話も少しさせてください(^^;

以前、「完全無欠コーヒー」というものが話題になりました。もともとはシリコンバレー発の書籍で紹介された、コーヒーにバターとMCTオイルを入れて飲むという健康法です。

実はこの完全無欠コーヒーを考えた人は、カビの少ない豆を選んで商品化した、いわば「カビなしコーヒー」を最初に広めた人でもあったそうで……。今回のカビの話とも、微妙につながっているんです。

当時、MCTオイル入りのコーヒーで血糖値が下がる、という話も一時期ずいぶん話題になりました。良さそうだと思って、私も試してみたんです。

CHIKA

バターはまだ良かったのですが、MCTオイルがどうも私の体には合わなくて、胃が痛くなってしまいました。それ以来、無理に続けるのはやめています。

MCTオイルは摂りすぎたり体質に合わなかったりすると、腹痛・胃痛・下痢・吐き気につながることがあると言われていて、私の場合はまさにそれだったんだと思います。

それに、糖尿病や肝機能に持病がある方は、自己判断で試さず、まず主治医に相談してほしいところです。

「話題になっているから」「みんなが良いと言っているから」は、自分にも合う保証にはならない。これは薬剤師としてというより、一人の生活者としての実感です。

不安になったら、まず”自分の体をよく見る”を選んでほしい

薬局の窓口でも、「これって普通ですか?」と聞かれることがよくあります。

多くの場合、原因は一つではなく、いくつかの要因が重なっています。だからこそ私がお伝えしたいのは、何か一つの犯人探しをするより先に、まず自分の体の反応をよく観察してみてほしい、ということです。

ただし、強い腹痛がある、血が混じる、原因不明の体重減少がある、下痢が長く続く……といった場合は、コーヒーのせいと自己判断せず、一度受診してくださいね。

ちなみに、こういう時に「チャコール(活性炭)を摂れば解決する」という話も出てきますが、実はチャコールは医療の現場でも使われている、れっきとした医薬品でもあります。

CHIKA

この話はまた別の記事で詳しくお伝えします。

缶コーヒーもコンビニコーヒーも便利。だからこそ、自分の体をちゃんと観察する

缶コーヒーもコンビニコーヒーも、コーヒー豆や粉も、今は本当に手軽に手に入ります。だからこそ、一度立ち止まって、自分が普段何気なく口にしているものを見つめ直してみるのも良いのではないかな、と思うのです。

飲んだ後の自分の体の変化を、ちょっとだけ気にかけてみる。

合わないと感じたら、無理に続けなくていい。

逆に、自分に合っていると感じるなら、それはそれで大切にしていい。

カビの少ない豆を選んでいる方もいますが、それも選択肢の一つとして知っておくといいと思います。

流行りに合わせることより、大事なのは自分の体の声を聞くことなのかもしれません。

まとめ

友人の「コーヒーをやめたら止まった」という話から始まったこの話、原因を一つに決めつけることはできませんでしたが、代わりに「自分の体をよく観察して、自分に合う付き合い方を選ぶ」という、もっと大事なことに気づかせてもらいました。

おならや腸の調子が気になる方は、こちらの記事も参考にしてみてください。


参考文献・参照サイト

カビ毒(オクラトキシンA/アフラトキシン)について

カフェインと腸の関係について

完全無欠コーヒー・MCTオイルについて

※本記事は上記の公的機関・専門機関の情報および複数の解説記事を参照し、薬剤師CHIKAの知見と体験をもとに執筆しています。

コーヒーへの反応は人それぞれ

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

CHIKAのアバター CHIKA 薬剤師

薬剤師CHIKA

2025年まで、現場の薬剤師として勤務。薬剤師歴はトータル25年以上。
日々の患者さんとの対話を通して、「薬に頼りすぎない健康」の大切さを実感しています。

このサイト「薬剤師CHIKAの部屋」では、食事・生活習慣・自然な健康法などについて、薬剤師の視点からわかりやすく解説しています。

また、「ようこそ還元くんの世界へ。」という情報発信ブログと
CHIKACHAN HOUSEというショップも運営しています。

20代で慢性関節リウマチを発症しましたが、さまざまな試行錯誤を経て克服しました。

その経験もふまえ、「体を整える」という視点から健康や暮らしに役立つ情報を発信しています。

目次