「忙しくて病院に行って薬をもらう暇がない…」
こういった声をよく耳にします。
皆さんが病院で処方箋をもらい、薬局で薬を受け取る際、その薬の多くは「医師の処方箋がなければ出せない」もので、これを「要処方箋薬」といいます。
しかし、実は医師が処方する薬の中には、処方箋がなくても購入できるものも存在します。
スイッチOTCとは？
最近では「スイッチOTC」と呼ばれる医薬品が増えてきました。これはもともと医療用だった薬が、市販薬として一般のドラッグストアなどで購入できるようになったものです。
※ＯＴＣ：Over The Counterの略でカウンター越しにお薬を販売するかたちに由来しています
例えば、以下のような薬があります。
これらは以前は医師の処方が必要でしたが、現在ではドラッグストアで購入できるため、病院に行かずに済むケースも増えました。
零売薬局とは？
スイッチOTCとは別に、「零売（れいばい）」というシステムを持つ薬局もあります。これは、処方箋なしでも一部の医療用医薬品を購入できる仕組みです。
例えば、以下のような薬が零売で販売されることがあります。
- 痛み止め：「カロナール」「SG顆粒」
- 保湿剤：「ヒルドイド」
- 湿布薬：「モーラステープ」
ただし、すべての調剤薬局がこの仕組みを導入しているわけではなく、対応している薬局は限られています。
零売薬局は合法？
「零売薬局」という言葉を聞いて違法なのでは？と疑問に思う方もいるかもしれません。しかし、零売薬局は違法ではありません。
ただし、「要処方箋薬」である抗生物質や降圧薬、コレステロールを下げる薬などは、零売薬局でも購入することができません。
実際に零売薬局を利用してみた
私自身、花粉症の時期に零売薬局を利用したことがあります。
どうしても目がかゆくなり、以前眼科でもらった「アレジオン点眼薬（エピナスチン）」と「フルメトロン点眼薬（フルオロメトロン）」が欲しかったのです。
しかし、この2つの点眼薬は市販薬としては販売されていません。（アレジオンは飲み薬は市販されているのに、点眼薬はないのが不思議ですね。）
そこで、零売薬局である「オオギ薬局」さんを訪れたところ、処方箋なしで問題なく購入できました。（実際に購入したのはジェネリックでしたが）
零売薬局のデメリット
零売薬局を利用するメリットは、病院に行く時間を節約できることですが、一方でデメリットもあります。
最大のデメリットは 価格が若干高い ことでしょうか。
医療用医薬品には「薬価」が定められており、保険が適用されるため、病院で診察を受けてから薬局で購入するほうが安くなります。
私も零売薬局で購入した際、「結構価格が上乗せされているな…」と感じました（薬価を知っているので）。しかし、病院での診察や待ち時間を考えると、急いでいるときには良い選択肢かもしれません。
零売薬局で購入できない薬
一方で、零売薬局では購入できない薬もあります。
例えば、私が常用している「ガチフロ点眼薬（抗菌薬）」は、要処方箋薬のため零売薬局では手に入りません。
私は涙の出口（下涙点）が詰まりやすく、そこに菌が繁殖すると、腫れや痛みが出ることがあります。眼科に行くと、いつも「ガチフロ点眼薬」を処方されるため、どうしても手元に常備しておきたいのですが、零売薬局では手に入らないのです。
個人輸入という選択肢もある
そんなときに利用できるのが「個人輸入」です。
代行業者は幾つかありますが、使うのであれば老舗のショップさんがいいと思います。
実は海外では、日本で処方箋が必要な薬も、普通の薬局で販売されていることがよくあります。
CHIKA例えば、タイでは「ノルバスク（降圧薬）」や「クレストール（高脂血症薬）」などが、箱のまま山積みにされて売られているのを見て驚きましたねえ。
個人輸入のデメリット
個人輸入は便利ですが、デメリットもあります。
- 価格が高い（送料もかかる）
- 届くまでに時間がかかる
- ジェネリック薬が多い（製造国によって品質に差がある）
- 完全自己責任での使用となる
特にジェネリック薬を購入する場合は、どこの国で製造されたものかをしっかり確認することをおすすめします。
まとめ
今回は、病院に行かずに薬を手に入れる方法についてご紹介しました。
- スイッチOTC：元々医療用だった薬が市販薬として販売されているもの
- 零売薬局：一部の医療用医薬品を処方箋なしで購入できる薬局
- 個人輸入：海外から自己責任で薬を購入する方法
それぞれにメリット・デメリットがありますが、状況に応じてうまく活用すると、忙しいときでも必要な薬を手に入れやすくなります。
他の選択肢としては、最近段々と活用されてきている「オンライン診療」。
これは、病院に足を運ばずオンラインで診察を済ませ、お薬は郵送又は指定した薬局で受け取れるというもの。カード決済なども使えるので、忙しい方は一考の価値ありですね。
皆さんの参考になれば幸いです。
