今回は、薬局にお越しになる男性の患者さんから伺った興味深いお話をご紹介します。その男性は月に一度、数種類の薬を受け取りに来られるのですが、非常に博識で、多彩な経験をお持ちです。
更に印象的だったのは、長年ウクレレバンドを続けてこられたということ。音楽を通じて豊かな人生を送られてきたことが伺えます。
しかし、若い頃の無理がたたり、脳梗塞を経験し、その後、右半身が不自由になってしまいました。大好きだったウクレレの演奏も今では昔のようにいかずもどかしい思いをされているとのこと。
それでもその方は非常に前向きで、ご自身の健康状態についても熱心に学び、観察を続けています。そんな姿勢から、私自身も多くのことを学ばせていただいています。
夜間頻尿との闘い
ある日、その男性から夜間頻尿について興味深い話を伺いました。
「夜中に2～3回、頻尿で目が覚めてしまうことが続いていたんです。翌朝には疲れが残ってしまい、本当に困っていました。でも、いろいろ試した結果、これだ！という方法を見つけたんです。今では毎日欠かさずやってます。」
夕方5時頃に足を高くして30分ほど横になることだそう。
こんな感じで↓
「テレビを見ながらでもいいので、こうしておくと、下半身に溜まった水分が上半身に戻ってくる感じがするんです。その結果、寝る前にはしっかり排尿できて、夜中に頻尿で起きることが格段に減りました。ただし、寝る前にこの方法を試しても効果がないので、夕方5時頃に行うのがポイントだね。」
夜間頻尿とは？
「夜間頻尿」は、夜間に1回以上排尿のために目が覚める状態を指します。
日本泌尿器学会によると、この症状は睡眠の質を著しく低下させ、日中の疲労や集中力の低下につながることがあります。特に、4～5回も頻尿で目が覚める場合、深刻な睡眠不足に陥ることがあり、日常生活にも大きな影響を及ぼします。
明らかに頻尿が原因で「眠れない」と訴えがあった方に睡眠導入剤が処方されたことがありました。
ご本人が強く希望されたので先生は処方したようですが、これはものすごく危ないことだと思います。寝る前にこの睡眠導入剤を飲み、それでも夜中はトイレに起きるためふらついて転倒し頭を打ってしまった・・といった例も過去にありました。
夜間頻尿の原因と対策
夜間頻尿の原因には、前立腺肥大、糖尿病、心不全などさまざまな要因があります。今回ご紹介した患者さんは76歳の男性で、前立腺肥大の問題はないとのことでしたが、前立腺肥大が原因である場合には、適切な治療が必要です。
詳しくは日本泌尿器学会のWebサイトをご覧ください。
ご自身の今の症状に当てはまるものはあるでしょうか？
ちなみに、生活習慣の改善もある程度功を奏します。例えば、夕方以降の水分摂取、カフェインやアルコールの摂取を減らす、適度な運動を心がける・・など。
CHIKAここだけの話、この「頻尿を治す系」のお薬ですが、私が患者さんたちの状況を伺う中で「劇的に効果があった！」という方には会ったことがありません。
ほぼ全員が「うーん・・少しはいいのかなぁ・・」という程度。
漫然と「効果があるかないかよくわからないもの」を飲み続ける意味はないと思います。
まとめ
夜間頻尿は、多くの方が抱える悩みの一つですが、今回ご紹介した患者さんのように、簡単な工夫で症状を軽減できることがあります。
もし、夜間頻尿に悩まれている方がいらしたら、ぜひ一度試してみてください。しかし、ある程度の生活習慣の改善を行ったにもかかわらず症状が長引いたり、更にひどくなる場合は他の健康問題がある可能性も否定できないので、一度専門医にチェックしてもらってくださいね。
最終目標は「夜間頻尿を軽減して、良質な睡眠を取れるようにすること」であることをお忘れなく！
