皆さんは、最近「頭の中がぐるぐるして眠れない」「気持ちをうまく言葉にできない」と感じることはありませんか?
そんなときにおすすめなのが、“書く瞑想”とも呼ばれる「ジャーナリング」です。
紙とペンさえあれば、どこでもすぐにできるこの方法。特別なスキルも必要なく、誰でも始めることができます。
今回は、薬剤師として多くの方の心身の不調を見てきた私が、“心を整える習慣”としてのジャーナリングについてお話しします。
1. ジャーナリングとは何か?
ジャーナリングとは、自分の頭や心の中にある思考や感情を、ありのままに書き出すことです。
英語の “journal(=日記)” に由来していますが、一般的な「日記」とは少し違います。
日記は「今日こんなことがあった」「あの人に会って楽しかった」といった出来事の記録。
一方、ジャーナリングは「なぜ私はあのとき腹が立ったのだろう」「本当はどうしたかったんだろう」と、自分の内面を探る作業です。
つまり、ジャーナリングは「心の整理ノート」。
書くことで、頭の中のもやもやが形になり、自分の感情や考え方のクセを客観的に見ることができます。
心理学的にも、ジャーナリングはストレスの軽減や自己理解の促進、さらには創造性の向上に役立つと報告されています。
アメリカの心理学者ジェームズ・ペネベイカー氏の研究では、感情を言葉にして書くことで、免疫力が高まり、ストレスホルモンが減少するという結果も示されています。
2. ジャーナリングのやり方
必要なのは、ノートとペンだけ。ルールはありません。
しかし、初めての方でも続けやすいよう、基本のステップを紹介します。
ステップ1:時間を決める
まずは1日5〜10分程度。
朝の静かな時間や、寝る前のリラックスタイムに行うのが効果的です。
スマホを遠ざけ、誰にも邪魔されない時間を確保しましょう。
ステップ2:テーマを決める(または自由に書く)
最初は「今日は何を感じたか」「今、一番気になっていること」「ありがとうと言いたいこと」など、テーマを決めて書いてもOK。
慣れてきたら、自由に思いつくままに書く“フリースタイル”でも構いません。
例:
- 「今の気持ちは?」「なぜそう感じているのだろう?」
- 「今日、うれしかったこと3つ」
- 「最近やめたい習慣」「その理由」
大切なのは、“正しい言葉で書こうとしないこと”。
誰に見せるわけでもないので、誤字脱字も気にせず、思ったままを書き出しましょう。
ステップ3:途中で止めない
思考の流れを止めないことがポイントです。
「こんなこと書いても意味あるかな」と思っても、とにかくペンを動かし続けましょう。
書き進めるうちに、隠れていた本音や気づきが浮かび上がってくることがあります。
3. いつ・どんなときに行うと効果的?
朝:思考をクリアにする
朝、起きてすぐに3ページほど思考をそのまま書く“モーニングページ”という手法があります(ジュリア・キャメロン著『ずっとやりたかったことを、やりなさい』で有名)。
頭の中のノイズを吐き出すことで、1日の集中力や創造性が高まるといわれています。
夜:感情を整える
夜に行う場合は、1日を振り返って心のデトックスを目的に書くのがおすすめ。
「今日よかったこと」「反省したこと」「明日に持ち越したくない気持ち」などを書き出すことで、気持ちが軽くなり、ぐっすり眠れるようになります。
モヤモヤしたとき・イライラしたとき
気持ちが乱れたときも、ジャーナリングは強い味方です。
書くことで、自分の中にある「怒り」「不安」「焦り」を安全に外に出すことができます。
頭の中でぐるぐるしていた思考が、紙の上に出てくると、それだけで距離ができて落ち着けるのです。

私も仕事でイライラが募ったときのジャーナリングはデスノートみたいになってました。
何を書こうと、どんな言葉になろうと気にせず書きましょう。
4. どのくらいの時間行えばいいの?
理想は1回10〜15分ほど。
長くても30分を超える必要はありません。
重要なのは「続けること」だと思います。
忙しい日には3分だけでもOK。
「今日一日を漢字一文字で表すと?」「今の気持ちを5行で」など、短くてもいいのです。
毎日続けるうちに、自分の変化が少しずつ見えてきますよ。
5. 書くことで得られる5つの効果
① 感情の整理
書くことで、頭の中の混乱が整理され、自分の感情の正体が見えてきます。
「怒っている」と思っていたけど、実は「悲しかった」など、本当の気持ちに気づくこともあります。
② ストレス軽減
ジャーナリングは、心の中に溜まったエネルギーを外に出す“安全なガス抜き”。
紙に書くだけで、ストレスホルモンが減少するという研究報告もあります。
③ 自己理解が深まる
書き続けるうちに、自分の思考パターンや価値観が見えてきます。
「なぜ私はいつも同じことで悩むのか?」という根本原因を発見できることもあります。
④ 目標達成を助ける
ジャーナリングを使って「理想の自分」「やりたいこと」を書くと、自然と行動が変わっていきます。
言葉にすることで、脳はその方向に意識を向けるようになるのです。
⑤ 睡眠の質が上がる
寝る前に不安や考えごとを書き出すことで、頭の中が整理され、安心して眠りにつきやすくなります。
6. 続けるコツと注意点
- きれいに書こうとしない
- 誰にも見せない前提で書く
- ネガティブなことも遠慮なく
- 書いたあとに読み返してもOK、読まなくてもOK
また、書いた内容を誰かに見せる必要はありません。自分だけの“心のメモ帳”として扱うことが大切です。



何も頭に浮かんでこなくても「あーーーー何も浮かんでこない、浮かんでこない・・」と書いたりしてますね。
どうしても辛い感情が出てきた場合は、無理に掘り下げず、途中でやめても大丈夫。
「今は書きたくない」と書くことも立派なジャーナリングです。
7. まとめ──自分と向き合う、静かな時間を
ジャーナリングは、現代の忙しい私たちにとって、心のメンテナンスのようなもの。
誰かに話を聞いてもらう代わりに、自分自身が自分の話し相手になる時間です。
1日たった数分、紙とペンを手にして“自分の内側”をのぞいてみましょう。
きっと、あなたの中に眠っていた答えが、静かに顔を出してくれるはずです。
ちなみにアイテムとしてのお勧めは大き目の無地ノート(リングタイプではない、水平に見開けるもの)と、ゲルインクタイプのペンです!
ご参考までに!