近年、平熱が低い人が増えていると言われています。
特に、風邪を引いたときに治りにくいと感じる方に話を聞くと、「普段の体温が35℃台なんです」と答える人が多いのです。
今回は、低体温がなぜ問題なのか、そして体温を上げるために何ができるのかについて詳しく解説します。
平熱と健康の関係
人間の平熱は通常、36.5℃〜37℃と言われています。この体温を維持している人は、基本的に風邪を引きにくかったり、病気になりにくいと言われています。平熱が35℃台の人にとっては、37℃でも普段の体温より2℃も高いので、非常につらく感じることが多いのです。
平熱が低いと免疫力が十分に働かないという大きな問題があります。免疫力とは、病原菌やウイルスと戦う体の防御機能です。この力が弱まると、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなるだけでなく、治りにくくなってしまい体力を大きく消耗します。
なぜ低体温が健康に悪いのか?
血液循環が滞る
私たちの体には約37兆個の細胞があると言われています。
そのすべての細胞が栄養や酸素を必要としており、血液を通じて届けられています。また、細胞が生きる過程で出す老廃物も血液によって回収されます。この仕組みが滞りなく働くことで、体は健康を保っているのです。
しかし、低体温になると血液の流れが鈍くなり、老廃物の回収がスムーズに行われなくなります。結果として、細胞の周りにゴミが溜まり、体調不良や疲れやすさの原因となります。
免疫力が低下する
血液中に含まれる白血球は、病原菌やウイルス、そしてがん細胞と戦う重要な役割を担っています。しかし、低体温になると白血球の働きが鈍くなり、病原菌やウイルスが侵入してもすぐに対処できなくなります。そのため、病気にかかりやすくなり、回復にも時間がかかります。
がんのリスクが高まる
がん細胞は健康な人でも毎日5000個程度発生していると言われています。これを白血球が毎日退治してくれているおかげで、私たちはがんにならずに済んでいるのです。ところが、低体温では白血球の活動が弱まり、がん細胞を撃退する力も落ちてしまいます。
ちなみに、がん細胞自体は42.5℃以上の温度で死滅すると言われています。これは温熱療法(ハイパーサーミア)という治療法の原理として利用されていますが、平熱を36.5℃以上に保ち、免疫力をしっかり維持することは間接的にがん予防の一つの鍵となるのです。
体温を上げるための具体的な方法
低体温を改善し、健康を守るためにはどうしたらよいのでしょうか?ここでは、日々の生活で実践できる具体的な方法を紹介します。
1. 適度な運動を取り入れる
運動をすると、筋肉が動いて体が温まり、血液の循環が良くなります。特におすすめなのは、以下のような運動です。
- ウォーキング:1日30分程度の軽い散歩でも体温が上がります。
- ストレッチやヨガ:筋肉をほぐし、血行を促進する効果があります。
- 軽い筋トレ:筋肉量が増えると基礎体温が上がりやすくなります。
2. 食事で体を温める
食事も体温を上げる大切な要素。体を温める食品を積極的に摂りましょう。
- しょうが、にんにく、唐辛子などのスパイス
- 根菜類(にんじん、大根、ごぼうなど)
- 発酵食品(味噌、納豆、キムチなど)
また、冷たい飲み物や生野菜ばかりの食事は体を冷やす原因になるので気を付けましょう。
3. 湯船に浸かる
シャワーだけで済ませる人も多いですが、湯船に浸かることで体の芯から温まります。38℃〜40℃程度のお湯に10〜15分ほどゆっくり浸かる習慣をつけましょう。
湯船に浸かる意味はもう一つあって、「体に適度な圧をかける」こと。水圧によって血管が圧拍されるので、マッサージを受けたように全身の血行がよくなります。
ただ、心臓や肺が弱っている方は気を付けて下さいね。
4. 温活グッズを活用する
最近では、体を温めるための便利なグッズもたくさんあります。
- 腹巻きや厚手の靴下、レッグウォーマーなどで冷えを防ぐ
- カイロを使って腰やお腹を温める
- 温熱シートや湯たんぽなどを活用する
寝る時は、腹巻とレッグウォーマーを使ってます。
日々の習慣で健康な体温を手に入れよう
低体温は、免疫力の低下やがんのリスク増加など、多くの健康問題を引き起こします。逆に言えば、平熱を36.5℃以上に保つことで、多くの病気を予防することができるのです。
ポイントをおさらいしてみます。
- 適度な運動を心がける
- 体を温める食品を意識的に摂る
- 湯船に浸かる習慣をつける
- 温活グッズを活用する
これらを日々の生活に取り入れて、健康的な体温を維持しましょう。体が温かいと心も元気になりますよ!
おまけの話
過去にお薬を取りに来た患者さんで
ぼく、平熱が34度台なんです。
という若い男性がおられました。
・・えっ?
何かの間違いでは?とお尋ねしたのですが、もう小さいころからなのだそう。
どこのお医者さんに行っても「大丈夫?」と言われますけど・・
今まで生きてこられたのでこれが僕の体なんだと思います。だから上手く付き合っていきます。
強い!!