薬剤師という立場でこんなことを言うのは少し奇妙かもしれませんが、「薬に頼り切る時代は終わり」と感じています。
私が薬剤師になりたての頃、先輩から「薬剤師としての役割は何だと思う?」と問われたことがありました。当時の私は、「皆に薬を正しく使ってもらうためのサポートをすること」と答えていました。
しかし、年月が経ち、今ではその答えが「不要な薬を飲まないように情報提供をすること」に変わっています。
薬剤師としての気づき
毎日、薬を手渡すたびに患者さんと接する中で、ある時「これは一種の宗教のようだ」と感じる瞬間がありました。
毎月病院に通い、薬をもらい続けることが、本当に最善なのか?と疑問を抱くようになり、その思いは次第に強まっていきました。
例えば、ある患者さんに対して「この薬は本当に必要なのか?」と思うことがあります。また、何十年も飲み続けている薬が全く効果をもたらしていないことや、明らかに副作用が出ているにもかかわらず、処方が続いている場合も少なくありません。
そして、その副作用を抑えるための薬が更に追加されるのです。これを「処方カスケード」と呼んでいます。
疑問に思ったことは処方医に確認しますが、「そのままで」と突き返されることも多々あります。薬を受け取る患者さんからも、「お医者さんが言うなら仕方ない」と言われるとこちらも「・・・」と言葉がありません。
薬の再評価と現実
昔の話になりますが、風邪の薬として多くの患者さんに処方されていた薬が、ある日突然「実は飲んでも飲まなくても効果に大差がなかった」として販売中止になったことがありました。
これは「薬の再評価制度」によって、既に承認されていた薬が再び評価され、品質や有効性、安全性が確認された結果。。
この出来事は、私にとって薬というものに対する考え方を大きく変えるきっかけにもなりました。
仲間たちと「今まであの薬って何だったんだろう・・?ただ体に添加物を入れていただけってことだよね」と話したことを覚えています。
さらに最近では、薬の供給不足という問題が発生しています。
原料が届かない、製造が追いつかないなどの理由は様々ですが、その根本には薬の品質管理に対する問題が横たわっています。
水虫の薬に睡眠薬の成分が混入していたり、期限切れの薬を回収して再製造したり、データを改ざんして出荷するなどもうメチャクチャです。このような状況で、果たして薬に頼りきりで良いのか・・
昨今の良い流れ
最近では「減薬外来」や「断薬外来」なんていう診療科目があります。
これはその方の病状や考え方などを踏まえて一緒に無駄な薬を減らしていくという外来です。主に向精神薬や精神薬に対して行われています。
そして、「体の回復力や免疫力をサポートする」という形で「漢方外来」などという診療科目もあります。
東洋医学の考え方を取り入れて、「体全体を診る」ということですね。ここには鍼灸なども含まれています。
さらに大学病院などに入院した高齢者の方に対し「いらない薬は飲まないようにしましょうね」と一気に薬が半分になって退院してくることも多くなりました。
これからの時代に必要な視点
さて。
私たちの体は、私たちが口にする食べ物から作られています。
これからの時代、健康の基本は「何を食べるか」にかかっているといっても過言ではないです。
食べ物はお薬にもなり、私たちの体の一部にもなります
まず見直すべきは、生活習慣や食生活。私たちが普段口にしているものには、遺伝子組み換え食品、添加物、偽装食品、農薬など、多くの問題が含まれています。スーパーで何を選び、どこで食べ物を買うのかを慎重に考えることが大切。
そして最後に、自分自身の心と体に問いかけてください。
「この薬は本当に必要か?」と。
薬に頼るのではなく、生活習慣や食生活の改善が、健康を取り戻すための第一歩であることは間違いありません。薬に頼り切る時代は終わりつつあり、もう自分自身で健康を管理する時代が始まっていますよ!