CHICACHAN HOUSE本館はこちらから 〉

カルシウムを取りすぎると骨が脆くなるって本当?

カルシウムの取りすぎは?

患者さんからよく頂くご質問にこんなものがあります。

患者さん

カルシウムをたくさん摂ったほうがいいって聞くけど、
取りすぎると逆に骨が弱くなるって本当ですか?

健康情報があふれている今、何が正しいのか分かりにくいですよね。
今回は、この疑問を整理してみました。

目次

まず、カルシウムはなぜ大事なの?

骨の材料といえば、思い浮かぶのはやっぱりカルシウム。
骨は「カルシウム+リン+マグネシウム」などで作られていて、ビタミンDや女性ホルモン、運動なども深く関わっています。

年齢を重ねると骨の中のカルシウムが減りやすく、特に閉経後の女性や高齢の方は骨がもろくなりやすい。
だから昔から「カルシウムをしっかり摂りましょう」と言われてきたんです。

でも最近、「取りすぎ注意」とも言われるのはなぜ?

ここ数年、世界中で大規模な研究が行われてきました。
その結果、少し意外なことが分かってきています。

  • カルシウムを増やしても、骨密度(骨の量)はほんの少ししか増えない
  • そして、骨折のリスクを下げる効果ははっきりしていない

多くの研究をまとめたことからわかるのは、カルシウムを多く摂ったグループでも、骨密度の上昇はたった1%前後。
しかも長く続けてもそれ以上増えない、という結果でした。

さらに、骨折を防げたという明確な証拠も少ないのです。
つまり「多く摂れば摂るほど骨が強くなる」という単純な話ではないのですね。

CHIKA

これはちょっと衝撃的ですよね。
カルシウムのお薬を渡している自分も「これって本当に必要なのかな?」と疑問を持つようになりました。

「取りすぎると逆に脆くなる」って本当?

一方で、カルシウムの摂りすぎが直接“骨を弱くする”という証拠はありません。
ただし、摂り方によっては注意が必要です。

サプリの摂りすぎ

カルシウムをサプリで多く摂りすぎると、腎結石や血管の石灰化(動脈硬化の一因)を招くことがあります。
また、血液中のカルシウムが増えすぎると、腎臓や心臓に負担をかけることもあります。

CHIKA

サプリは「ギュッと」その栄養素が詰まっています。

バランスの崩れ

骨を作るのはカルシウムだけではありません。
ビタミンD、ビタミンK、マグネシウム、たんぱく質、そして運動や日光なども欠かせません。

「カルシウムさえ摂れば大丈夫!」と偏ると、せっかくの努力が空回りしてしまうことも・・

医師が高齢者にカルシウムを処方するのはなぜ?

薬局でも、カルシウム製剤(例:乳酸カルシウム、炭酸カルシウムなど)を処方されている方をよく見かけますよね。

実は、意味がある場合もあります。

たとえば——

  • 食事でカルシウムが絶対的に足りていない
  • 骨粗しょう症の治療薬を使う前の「栄養補強」
  • 日光をあまり浴びず、ビタミンDが不足している

こういった条件の方には、カルシウムとビタミンDを一緒に補うことで骨の代謝を整える効果が期待できます。

ただし、全員に効くわけではありません。
最近の研究では、「一般的な高齢者がカルシウムを飲んでも骨折はあまり減らない」という結果も出ています。

でも、よく患者さんから聞くのは「先生が、年取ったら骨心配だから飲んどいたほうがいいよって言うから」という言葉。。

血液検査でカルシウムやビタミンDの状態は分かる?

ある程度は分かります。

  • カルシウム:血液中の濃度を測定できます。
     ただし、「血中が正常=骨が丈夫」とは限りません。
  • ビタミンD:25(OH)D(25-ヒドロキシビタミンD)という項目を測れば、体の中の蓄え量を知ることができます。

とはいえ、一般的な健康診断では測定されないことが多く、必要に応じて医師が追加検査として行います。

CHIKA

自分から医師に言ってみるのも良いと思います。

骨の状態を知るには、血液検査だけでなく、骨密度測定(DXAなど)も合わせてチェックするのが良いです。

じゃあ、どうすればいいの?

薬剤師の立場からお伝えしたいのは「バランスと適量」です。
以下のポイントを意識してみてください。

食事からが基本

乳製品、小魚、豆腐、青菜などから自然に摂るのが理想。サプリは「補助的に使うもの」と考えましょう。

ビタミンDとセットで

日光を浴びることでもビタミンDは作られます。食事からは魚類やきのこ類に多く含まれます。

運動も忘れずに

カルシウムがあっても、骨に刺激(負荷)がなければ強くなりません。軽い筋トレやウォーキングで骨に“揺さぶり”を与えることが大切です。

サプリや薬は要相談

腎臓の機能が低い方や、薬を多く服用している方は、自己判断でのサプリ摂取は避けましょう。

(ちなみに1日1,000mgを大きく超えると、腎結石リスクや動脈硬化との関連も指摘されています。)
カルシウムは“良くも悪くも影響が広い”栄養素だと思います。

CHIKA

骨もそうですが、体って「総合的に」作られるものなのです。
食べる、出す、運動する、日光を浴びる・・など。

カルシウムを沢山とって逆に骨が脆くなるという明確な証拠は今の所ないようですが、「沢山とったからといって骨が強くなる」というわけではないのですよね。

やっぱり、何事もバランスですかね!

カルシウムの取りすぎは?

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

薬剤師歴20年以上。本業の傍らで「ようこそ還元くんの世界へ。」という情報発信ブログとショップを運営しています。こちらの「別館」では還元くん・メビウスウォーター以外の情報発信を主に行っています。20代で慢性関節リウマチを発症し克服するまでに行ったことや考えたことなども含め、いろいろ発信しています。

目次