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「薬の飲み合わせ」で起こる思わぬ体調不良と、その防ぎ方

薬局で毎日たくさんの患者さんとお話ししていると、「最近なんとなくだるい」「めまいがする」「朝がつらい」などのご相談を受けることも。
年齢を重ねると、高血圧、コレステロール、関節痛、不眠などで、飲む薬の数が少しずつ増えていく方が多いです。

でも・・実は「薬の組み合わせ」こそが、体の不調の原因になっていることも少なくありません。
薬は体を助けるためのものですが、一緒に飲む薬の相性が悪いと、思わぬ副作用を引き起こすことがあるのです。

今日は「薬の飲み合わせ」について、実際にあったケースや、気をつけてほしいポイントをお話します!

目次

「年のせいかな?」と思っていた不調が、薬のせいだった

薬の飲み合わせ(相互作用)とは、複数の薬が体の中で影響し合い、薬の効果が強く出すぎたり、逆に効かなくなったりすることです。

複数の診療科にかかり、薬の種類が増えることが少なくないです。そこに市販薬やサプリメントを加えると、知らないうちに“危ない組み合わせ”が出来上がってしまうことがあります。

たとえばこんな相談がありました。

患者さん

血圧の薬を飲んでいるけど、なんか最近体が浮腫むんだよねえ

この方が飲んでいる血圧のお薬自体も若干浮腫みが出るようなタイプでしたが、「最近急に」というのがちょっと引っかかりまして・・

CHIKA

どこか痛くて市販の薬買って飲んだりしてないですか?

患者さん

えっ!なんでわかるの!?実は最近ちょっとゴルフで腰を痛めて、市販のロキソニン買って飲んでるよ。

まさか、それ?

少々この痛み止めを飲むのをやめていただいて、暫く様子を見てもらうことにしました。

で、次お会いした時この患者さんは・・

患者さん

浮腫み、なくなったよ!まさか買って飲んでいた薬がねえ・・
腰の痛みはしばらくゴルフ休みにして安静にしてたら良くなった。


これはまさに飲み合わせによる副作用の一例です。

一部の血圧を下げる薬と、痛み止め(ロキソニン・イブ・ボルタレン・バファリンの一部商品など)を一緒に飲むと、腎臓に負担がかかって体に水がたまりやすくなることがあります。血圧も上がりやすくなるため、注意が必要です。

「よくある危険な組み合わせ」

薬局の現場でよく見かける、特に気をつけたい組み合わせをいくつか紹介します。

● 血圧の薬 × 痛み止め

血圧を下げる薬(アムロジン、オルメテック、ミカルディスなど)と、痛み止め(ロキソニン、イブなど)を一緒に飲むと、血圧が上がったり、腎臓に負担がかかったりします。
特に夏場の脱水時や、年配の方、長期間続けて飲む場合は要注意ですね。

● 血をサラサラにする薬 × 解熱鎮痛薬

ワーファリン、バイアスピリン、クロピドグレルなどを飲んでいる方が、痛み止めを併用すると、胃や腸の出血リスクが高まります
「胃が痛い」「便が黒っぽい」などの症状があればすぐに受診を。

● 抗うつ薬 × 片頭痛の薬

抗うつ薬(パキシル、レクサプロなど)と片頭痛薬(イミグラン、マクサルトなど)を一緒に飲むと、まれにセロトニンが増えすぎて震えや発汗が出る“セロトニン症候群”を起こすことがあります。
「動悸」「発熱」「ふるえ」が続く場合は要注意です。

● コレステロールの薬 × 一部の抗生物質

スタチン系の薬(リピトール、クレストールなど)と抗生物質(クラリス、エリスロマイシンなど)を併用すると、筋肉痛や脱力感が出ることがあります。
重い筋肉痛を感じたら、すぐ医師や薬剤師に相談を。

● 血圧の薬 × 抗生物質

カルシウム拮抗薬(アムロジンなど)と、同じくクラリスロマイシンなどの抗生物質を併用すると、血圧が下がりすぎて立ちくらみを起こすことがあります。

● グレープフルーツジュース × 薬

意外かもしれませんが、グレープフルーツジュースも一部の薬の効き方に影響を与えることがあります。
血圧の薬やコレステロールの薬を飲んでいる方は、できるだけ避けた方が安心です。

「なんとなく調子が悪い」と感じたときのチェックポイント

薬の飲み合わせによる体の変化は、最初はとても小さな違和感から始まります。

CHIKA

こんな症状が出ていませんか?

  • いつもより疲れやすい、体が重い
  • めまい、立ちくらみ、ふらつき
  • 吐き気、食欲がない
  • 肌がかゆい、湿疹が出た
  • 便秘や下痢を繰り返す
  • 筋肉が痛い、こわばる

もし思い当たることがあれば、「年のせい」と決めつけずに、薬剤師に相談してみてください。
薬を変えたり、飲む時間をずらすだけで体調が楽になることもあります。

「お薬手帳」は命を守るノート

薬の飲み合わせを防ぐ一番の方法は、自分の薬を一か所で管理することだと思います。
そのために役立つのが「お薬手帳」。

たとえば、

  • 医療機関ごとに違う薬をもらっている
  • 市販薬やサプリも使っている
  • 同じ成分の薬を複数もらっているかもしれない

こうした情報を薬剤師が確認できるように、お薬手帳を常に一冊にまとめるのが理想です。
そして、医師・薬剤師に見せることで、危険な組み合わせを早い段階で防ぐことができます。

CHIKA

最近はスマホに入れるお薬手帳アプリも増えましたが、私は紙媒体のお薬手帳をお勧めします。

何か自分で気が付いたことなど、パッとメモしておけますしね!

大切にしている3つのこと

私が薬局で患者さんと接するときに意識していることは、次の3つです。

  1. 「全部の薬」を見渡すこと
     処方薬だけでなく、市販薬やサプリメントまで聞き取り、相互作用をチェックします。
  2. 飲む時間の調整
     リスクがある薬は、朝と夜で時間をずらすだけで安全になる場合があります。
     医師と連携しながら、無理のない飲み方を一緒に考えます。
  3. “薬の棚卸し”をする
     長く飲んでいる薬が本当に今も必要かどうかを、定期的に見直してみます。
     薬を減らすことも、立派な健康管理のひとつです。

自己判断で薬をやめないで

「飲み合わせが悪そうだからやめてみた」
「副作用が怖いから半分だけにした」
――こうした自己判断はとても危険です。

薬を突然やめると、血圧や血糖値が急に変動してしまうことがあります。
もし気になることがあるなら、「この薬と一緒に飲んでも大丈夫ですか?」と薬剤師に聞いてください。

CHIKA

「錠剤を半分にして飲みたい」とおっしゃって、自己判断で半分に切っておられた方がいたのですが、実はその薬半分に切ってはいけない薬だった・・ということもありました。

まとめ:薬と上手く付き合うために

薬は、正しく使えば体を助ける心強い味方です。
でも、体の中ではそれぞれが複雑に作用し合っています。
「薬の飲み合わせ」を理解し、少し意識するだけで、副作用の多くは防げます。

今日からできる4つの習慣をまとめます。

  • お薬手帳は常にひとつにまとめる(病院ごとにわけない)
  • 新しい薬をもらうときは必ず薬剤師に確認する
  • サプリや市販薬も正直に伝える
  • 小さな体調変化をメモする
患者さん

お医者さんには聞きづらいけど、薬剤師さんなら聞きやすいことも多いのよ~


と、結構言われることがあります。

もし「最近ちょっと変だな」と思ったら、遠慮なく相談してくださいね。
一緒に、薬とうまく付き合っていきましょう。

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この記事を書いた人

薬剤師歴20年以上。本業の傍らで「ようこそ還元くんの世界へ。」という情報発信ブログとショップを運営しています。こちらの「別館」では還元くん・メビウスウォーター以外の情報発信を主に行っています。20代で慢性関節リウマチを発症し克服するまでに行ったことや考えたことなども含め、いろいろ発信しています。

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