こんにちは、薬剤師のCHIKAです。
「おしゃれをしたくてイヤリングをつけたら、耳がかゆくなってしまった」
「お気に入りの指輪をはずすと、指が赤くなっていた」
そんな経験、ありませんか?
実はその原因、アクセサリーに含まれる金属かもしれません。
最近、海外では“有害金属を含むアクセサリー”が問題になり、リコール(回収)になることも増えています。
今回は肌トラブルや健康リスクを防ぐために知っておきたいアクセサリーの話を、できるだけわかりやすくお伝えします。

実際に薬局でも多くの「アクセサリーで皮膚トラブル」になってしまった患者さんに会いました。
意外ですが、ご本人があまりピンときてないことも多かったです。
アクセサリーに潜む“3つの金属”
私たちが日常的に身につけるアクセサリー。
その中には、次のような健康リスクにつながる金属が使われていることがあります。
① ニッケル
- 肌トラブルNo.1の原因
- ピアス・イヤリング・ネックレスなどでかゆみや赤み、水ぶくれが出ることも
- 汗をかいたときに金属が溶け出し、肌に炎症を起こすケースが多いです
② 鉛(なまり)
- 特に小さなお子さんは要注意
- 誤って口に入れたりなめたりすると、体内に吸収されやすく、神経や発達への影響が心配されています
- アメリカでは、鉛を含む子ども向けブレスレットが問題になり、リコールされた事例もあります
③ カドミウム
- 体内にたまる性質があり、腎臓や骨への影響が指摘されています
- EU(ヨーロッパ)ではアクセサリーへのカドミウム含有が厳しく制限されています
どうやって体に入るの?
「アクセサリーをつけるだけなのに…どうして?」と思いますよね。
金属は意外といろいろなルートで体に影響します。
- 皮膚から
汗や摩擦で金属イオンが溶け出し、かゆみや炎症を引き起こすことがあります - 口から
小さなチャームやビーズを口に入れてしまうと、鉛やカドミウムが体に取り込まれる可能性があります - ピアスホールや傷口から
皮膚バリアが弱い部分は、より直接的に金属の影響を受けやすいです
こんな方は特に注意!
- 小さなお子さんがいる方
- 金属アレルギーがある方
- ピアスホールが安定していない方
- 妊娠中・妊活中の方
お子さんはもちろん、40代以降になると肌バリア機能も少しずつ低下するので、同じアクセサリーでも昔よりトラブルが出やすくなることがあります。
今日からできる「安心して楽しむ」5つの工夫
① 素材を意識して選ぶ
- サージカルステンレス(SUS316L)や純チタン、ジルコニアやセラミックは肌に優しくおすすめ
- 「ニッケルフリー」「金属アレルギー対応」と書かれているかチェック
- 金属ではない素材も注意
- 極端に安いものや素材表示がないものは慎重に



サージカルステンレスでも長時間つけているとダメ、という方もおられましたね。
ゴールドでも、ピンクゴールドやホワイトゴールドは金以外の素材が入っているためつけられない、という方も。
奥が深いな・・と思いました。
② ピアスは“最初”が肝心
ピアスを開けたばかりのときは、皮膚がとてもデリケート。
医療用チタンなど、刺激の少ない素材を選びましょう。
③ 汗をかく日は外す
ランニング、スポーツ、サウナなど、汗をたくさんかくときは外すのがおすすめ。
金属イオンが溶け出しやすく、トラブルの原因になります。
④ 使ったあとはひと手間ケア
やわらかい布で汗や皮脂をやさしく拭き取るだけで、金属の劣化も肌トラブルも防げます。
⑤ お子さんの誤飲に注意
小さなパーツは口に入れてしまうリスクが高いです。
見えない場所にしまう、外出時は持たせないなど工夫を。
「規制があるのになぜ問題が起きるの?」
実は、国や商品によって規制がバラバラなのが現状です。
- 日本は「おもちゃ」や「小さな子ども向け製品」には基準があるものの、大人向けアクセサリーには細かい制限が少ないケースも
- 海外から個人輸入される商品やネット通販では、規格外の製品が混ざりやすい
- EUやアメリカでは厳しい基準があり、違反するとリコールになることもあります
つまり、「安全だと思って買ったアクセサリーが、実は海外で販売禁止になっていた」というケースもゼロではありません。



日本はこういった規制はまだまだ緩いですよね
さいごに
おしゃれを楽しむことは、毎日の気分を上げてくれる大切な時間です。
でも「何でできているか」を知っているだけで、肌トラブルや健康リスクを避けることができるんです。
特に、小さなお子さんがいる方や肌が敏感な方は、
「素材表示を見る」「ニッケルフリーを選ぶ」
この2つを意識するだけで、安全度はぐんと上がります。
おまけ
過去に、「血流が改善する」「疲れが改善する」「癒される」という謳い文句で売り出されたアクセサリーから放射性物質が検出されたという話がありました。



少々古い話になりますが、たとえばこちら↓↓
2018年、スイスの保健当局(連邦内務省保健局)は、中国から輸入された「マイナスイオン」と銘打ったアクセサリー(ブレスレット・ネックレス・イヤリングなど)について、高レベルのウランおよびトリウムを含有していたため、使用中止と製品の回収を消費者に通知しました SWI swissinfo.ch+1。
もしこれらのアクセサリーを一日に数時間、数年間にわたって着用した場合、皮膚が被曝する放射線量は年間で50ミリシーベルトを超える可能性があり、長期的に皮膚がんのリスクが高まる恐れがあるとされています。ただし、この時点では購入者に医療的措置を要する事態は生じていないという判断でした SWI swissinfo.ch。
これ、結構身近に潜んでいるかもしれないです。
さらに詳しく
なぜアクセサリーに放射性物質が含まれるのか?
- 鉱石由来の天然放射性
ブレスレットなどに用いられる鉱石には、ウランやトリウムなどの天然放射性物質が微量含まれていることが多いです。日本の研究では、健康・開運目的をうたう鉱石ブレスレットにも、“極微量”の放射性物質が含まれる場合があると指摘されています。中には、正常使用でも皮膚近接による被曝線量が、公衆被ばく限度(年間1 mSv)を超える可能性のあるものもあり、故意に放射性物質を添加した場合には国際規制の対象とすべきとの見解も示されています cbims.net。 - レアアース鉱石との関連
ウランやトリウムはしばしばレアアース(REE)鉱石と共に産出されることがあります。例えば、モナザイトなどでは高い割合でトリウムが副産物として含まれており、採掘や製錬の過程で取り除かれる必要があります ワールド・ニュークリア・アソシエーションsmenet.org。 - その他の製品にも含まれる例(花こう岩・アンティークなど)
・花こう岩(グラニット)製の調理台には、微量ではあるものの、検出器で測定できるほどのウランが含まれている場合があります Mirion。
・また、アンティークの食器や時計では、かつて装飾目的でウランやラジウム、トリチウムなどが含まれていた例があります。暗闇で光るラジウム文字盤の時計などが典型的です GIGAZINE。
そして、金属ではない素材(例えばパールなど)を身に着けていてもアレルギーになったという患者さんもいました。これはおそらく人工的に作られたパールの表面をコーティングしている何かの化学物質に反応したのでしょう。



あとは接着するための化学物質とか・・ですかね。
しかし、今の世の中本当に口からも皮膚からも「毒」に触れる機会が本当に多くなりました。
“まず知ること”が一番の予防です。
ぜひ、今日から意識して選んでみてくださいね。