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薬の飲み合わせ:避けるべき組み合わせとその理由

薬を服用する際には、その組み合わせに注意が必要です。特定の薬を一緒に飲むと、効果が減少したり、副作用が増加したりすることがあります。今回は、避けるべき薬の組み合わせとその理由について一部をお話します。

目次

1. 抗生物質と牛乳

避けるべき理由

抗生物質の中には、テトラサイクリン系やキノロン系といった系統の薬があります。これらの薬は、牛乳や乳製品に含まれるカルシウムと結びつき、薬の吸収を妨げることがあります。その結果、薬の効果が減少する可能性があります。

お薬同士でも「酸化マグネシウム」という便秘を解消するためのお薬は(市販薬でも売っています)上記と同様のことを引き起こします。

対策

抗生物質を服用する際は、牛乳や乳製品を避け、薬を飲む前後2時間は間隔を空けるようにしましょう。

2. 血液サラサラ薬とビタミンK含有食品

避けるべき理由

血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)として広く使用されているワーファリンは、ビタミンKによって効果が減少することがあります。ビタミンKは、緑黄色野菜(ほうれん草、ブロッコリー、ケールなど)や納豆に多く含まれています。

ちなみに、「血液をサラサラにする薬」といっても多くの種類があります(アスピリン、プラザキサ、プラビックス、エリキュース、イグザレルトなど)。ワーファリン以外はビタミンKに影響されないので納豆は食べても大丈夫です。

対策

ワルファリンを服用している場合は、ビタミンKの摂取量を一定に保ち、急激な摂取増加を避けるようにしましょう。食事内容については薬剤師や栄養士に相談すると良いでしょう。

CHIKA

「どうしても納豆が食べたい!!!」と言い、ドクターに薬を変えてもらったツワモノの患者さんもいます。

ただし、薬を微妙に管理しなければならない場合はどうしてもワーファリンを使う場合も。

3. 抗うつ薬や睡眠薬とアルコール

そもそも薬とアルコールを一緒に飲むのは、どんな薬でもNGです。

CHIKA

薬の効果が強く出すぎてしまったり、肝臓に過度の負担をかけてしまいます。

私も過去に痛み止めのロキソニンとアルコールを一緒に取ってしまったことがあります。
気分不快を通り越し、過度のだるさと疲労感がものすごく、かなり後悔した経験があります。

避けるべき理由

特に、抗うつ薬(SSRIやMAOIなど)とアルコールを一緒に摂取すると、薬の効果が減少するだけでなく、副作用が増強されることがあります。特に、セロトニン症候群や肝臓への負担が増加するリスクがあります。

【補足】セロトニン症候群とは?

セロトニン症候群とは、精神症状、自律神経症状、神経筋症状などさまざまな症状が現れる状態です。

具体的には下記のような症状がでてしまうことがあります。ご参考まで。

CHIKA

お薬をナメてはいけません~

精神症状

  • 焦燥感: 落ち着かず、不安が強くなる。
  • 混乱: 意識がはっきりせず、思考がまとまらない。
  • 興奮: 異常に興奮し、衝動的な行動をとることがある。
  • 幻覚: 現実には存在しないものが見えたり聞こえたりする。

自律神経症状

  • 発汗: 異常に汗をかく。
  • 高熱: 体温が上昇し、場合によっては非常に高い熱が出る。
  • 頻脈: 心拍数が速くなる。
  • 血圧の変動: 血圧が急に高くなったり低くなったりする。
  • 下痢: 消化器系の異常が起こり、頻繁に下痢をする。

神経筋症状

  • 筋肉のけいれん: 筋肉が意図せずに動くことがある。
  • 筋肉の硬直: 筋肉が硬くなり、動きが制限される。
  • 震え: 手や足が震えることがある。
  • 反射の亢進: 反射が過敏になり、ちょっとした刺激で強い反応が起こる。

重症症状

  • てんかん発作: 脳の異常な電気活動により、体がけいれんする発作が起こる。
  • 意識障害: 意識がもうろうとし、場合によっては昏睡状態になることがある。
  • 腎不全: 重度の高熱や脱水状態により、腎臓の機能が低下することがある。
  • 多臓器不全: 他の臓器にも影響が及び、全身の機能が低下する。

対策

アルコールは飲まないに越したことはありません。

抗うつ薬などは、お薬が体の中に留まる時間が比較的長いので「薬を飲んで〇〇時間空けたらアルコールは飲んでOK」という考えはNG。

4. 鎮痛剤と血圧降下薬

避けるべき理由

NSAIDs(”非ステロイド性抗炎症薬”の略)などの鎮痛剤は、血圧降下薬の効果を減少させることがあります。これにより、血圧がコントロールしにくくなる場合があります。

NSAIDsの代表的な商品はロキソニンやイブですね。

CHIKA

「NSAIDs」は「エヌセイズ」と読みます。

【補足】なぜNSAIDsは血圧降下薬の効果を減らすの?

1. 体の中の重要な物質

体の中には「プロスタグランジン」という物質があります。この物質は、血管を広げたり、腎臓で水分を調整したりして、血圧をコントロールするのを助けています。

特にこの「プロスタグランジン」というものが関わってくる血圧降下薬を飲んでいる方は注意です。

2. NSAIDsの働き

NSAIDsは痛みを和らげたり、炎症を抑えたりするお薬です。しかし一方で、NSAIDsを飲むと、プロスタグランジンの量が減ってしまいます。

3. 血圧にどう影響する?

プロスタグランジンが減ると、血管が狭くなりやすくなります。さらに、腎臓が体の中の水分をうまく調整できなくなることがあります(ロキソニンなどを飲むと浮腫むという方が稀にいらっしゃいますがこの働きによるものです)。

これらのことが原因で、血圧が上がってしまいます。

4. 血圧降下薬の働き

血圧降下薬は、血管を広げたり、腎臓の働きを助けたりして、血圧を下げるお薬です。

5. NSAIDsと血圧降下薬の組み合わせ

NSAIDsを飲むとプロスタグランジンが減ってしまうため、血圧降下薬が頑張って血圧を下げようとしても、うまくいかないことがあります。これが、NSAIDsが血圧降下薬の効果を減らす理由です。

対策

時々鎮痛剤を飲む程度なら大丈夫だと思いますが、必要に応じて代替薬を使用するほうが良いと思います。
なぜなら、飲んでいる薬の効果が上手く発揮されていない可能性がありますので。

5. 抗ヒスタミン薬と睡眠薬

避けるべき理由

抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)と睡眠薬を一緒に服用すると、鎮静効果が増強され、過度の眠気やめまいを引き起こす可能性があります。特に、高齢者では転倒のリスクが増加します。

CHIKA

実はこの「抗ヒスタミン薬」というのは市販薬の風邪薬にも普通に入っていることが多いです。ここが結構盲点。

対策

市販の薬を買う時はその成分に注意。

しかし、根本的なお話ですが。。基本的に通常の生活を送っている皆さんには、睡眠薬や睡眠導入剤はお勧めできません。。
多くの患者さんたちを見ていますが、やはり薬にドンドン依存するようになってしまうんです。

本当に良質な睡眠は薬からは得ることができません。

まとめ

薬の飲み合わせには注意が必要です。複数の薬を服用する際は、必ず適切な組み合わせを確認してください。

また、自己判断で薬を併用することは避け、処方された薬の指示に従うことが大切です。薬の効果を最大限に引き出し、副作用を最小限に抑えるために、正しい薬の飲み方を心がけましょう。

CHIKA

・・と、一般的な締めくくりにしましたが、私は「薬を勧めない薬剤師」として活動しています。

しかしながら全ての薬を否定することはしません。
それは、自分も薬で助けられた過去があるからです。

しかし、「本当は必要のない薬を長期に漫然と飲むリスク」は絶対にあります。

今お薬を常用されている方は、その薬が本当に必要なのか?是非考えてみてくださいね。

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この記事を書いた人

薬剤師です。「ようこそ還元くんの世界へ。」という情報発信ブログとショップを運営しています。こちらの「別館」では還元くん・メビウスウォーター以外の情報発信を主に行っています。20代で慢性関節リウマチを発症し克服するまでに行ったことや考えたことなども含め、いろいろ発信しています。

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