CHICACHAN HOUSE本館はこちらから 〉

お酒を飲まないのに尿酸値が高い?「乳酸」が尿酸を溜めるしくみ

乳酸と尿酸の関係

※尿酸値・痛風のしくみと、乳酸との関係について知りたい方へ向けて書いています。

こんにちは、薬剤師のCHIKAです。

「痛風といえばビール、プリン体、中年男性」というイメージがありますよね。

でも実は、お酒をまったく飲まない方でも尿酸値が上がることがありますし、女性でも痛風になることがあります。

「私はお酒を飲まないから関係ない」と思っていたのに、健康診断で尿酸値を指摘された——そんな方が実は少なくないんです。

尿酸値が上がる原因はお酒だけではありません。そのカギを握るのが「乳酸」という物質です。

今日は、あまり知られていない「乳酸と尿酸の関係」を、なるべく難しい言葉を使わずにお伝えします。読み終わったころには、「だから水をよく飲みなさいって言われるんだー!」とスッキリするはず。

目次

そもそも「尿酸」って何?

尿酸は、体の中で作られる老廃物の一種です。

私たちの体は毎日、古い細胞を壊して新しい細胞を作り直しています。このとき、細胞の核(DNA)の中にある「プリン体」という物質が分解されて、最終的に「尿酸」になります。

プリン体はビールやレバーなどの食べ物にも含まれていますが、実は食事由来は全体の2〜3割だけ。残りの7〜8割は、食事と関係なく体の中で自然に作られています

CHIKA

「食べ物に気をつけているのに尿酸値が下がらない…」という方、多いんです。それは食事だけが原因じゃないから。体の中での産生量と排泄量のバランスが大事なんですよ。

作られた尿酸は、血液に乗って腎臓に運ばれ、おしっこと一緒に体の外に出ていきます。問題が起きるのは、この「外に出ていく」プロセスがうまくいかないときです。

腎臓に「尿酸の出口係」がいる

腎臓の中には、尿酸の出し入れを管理している小さな”係員”がいます(正式名称は「URAT1(ユーラット・ワン)」といいます)。

この係員の仕事は、一度ろ過された尿酸を「まだ捨てなくていい」と判断したら血液に戻すこと。尿酸を全部捨てすぎないよう、適度に調整しているわけですね。

CHIKA

ここまでは正常な働きです。問題はここから。

乳酸が増えると、出口が「渋滞」する

じつはこの係員(URAT1)、乳酸とも仕事をしているんです。

乳酸を体の中に取り込むとき、その代わりに尿酸を血液側に送り返す、という「交換作業」をしています。つまり——

乳酸が増えれば増えるほど、尿酸が体の外に出にくくなる

本来なら捨てられるはずの尿酸が、乳酸との交換で血液に引き戻されてしまいます。これが「乳酸が尿酸を溜める」のしくみです。

イメージするとこんな感じ

駅の改札を思い浮かべてみてください。乳酸が「入場」するとき、尿酸が「出場」できなくなる。改札が乳酸でいっぱいになると、尿酸は外に出られず体の中に残り続けてしまいます。

お酒を飲まなくても、尿酸値は上がることがある

「私はお酒を飲まないから大丈夫」——そう思っている方に、少し知っておいてほしいことがあります。

尿酸の7〜8割は、食事と関係なく体の中で毎日自然に作られています。細胞が新陳代謝するたびに、プリン体が分解されて尿酸になるからです。つまり、食事やお酒をいくら気をつけても、体内での産生はゼロにはできません

さらに、お酒以外にも乳酸を増やす原因があります。

  • 激しい運動(スポーツ・筋トレなど)
  • 脱水・大量の発汗
  • 強いストレス
  • 睡眠不足

女性の場合、閉経前は女性ホルモンが尿酸の排泄を助ける働きをしているため、尿酸値が低めに保たれやすいとされています。ただし閉経後はその働きが弱まるため、尿酸値が上がりやすくなることが知られています。

「お酒も飲まないのに…」という方の場合、こうした原因が重なっている可能性があります。

乳酸が増える場面、日常にこんなにある

「乳酸って、筋肉痛のときに出るやつ?」とよく言われますね。そうです、激しい運動のときに増えるイメージがある乳酸ですが、実は日常のいろんな場面で増えています

お酒を飲んだとき

アルコールが肝臓で分解されるとき、その過程で乳酸が作られます。プリン体が少ない焼酎やウイスキーでも、アルコールを飲んでいる限り乳酸は増えます。乳酸が増えると→尿酸の出口が渋滞→尿酸が体に溜まる、という流れが起きるんです。

「プリン体ゼロのビールにしたから大丈夫!」とはいかない理由がここにあります。お酒を飲む方にとって、乳酸はとくに意識しておきたいポイントです。

息が切れるような激しい運動をしたとき

ダッシュや重い荷物を持ち続けるような、息が上がる運動をすると体は酸素が足りなくなります。そのとき「酸素なしでエネルギーを作る」モードに切り替わり、その副産物として乳酸が大量に出ます。さらにその過程で尿酸そのものも増えるので、「乳酸で出口が渋滞」+「尿酸も増産」という二重パンチになります。

CHIKA

ウォーキングや水泳など、ゆっくりした運動が勧められるのは、こういった理由もあるんですよ。

脱水・大量に汗をかいたとき

汗をたくさんかくと血液が濃くなって、血液中の尿酸濃度が相対的に上がります。おしっこも減るので、尿酸の排泄量も落ちます。

特に怖いのは「運動で汗をかいたあと、お酒を飲む」という組み合わせ。脱水+アルコールの乳酸という最悪のコンビが重なります。

スポーツ観戦後の一杯、夏のビアガーデン…心当たりがある方、要注意です。

痛風発作が起きると、さらに乳酸が増える悪循環

乳酸は痛風発作を引き起こすだけじゃなく、発作が起きてからも厄介な役割を果たします。

痛風発作が起きると、関節の中に溜まった尿酸の結晶を、体の免疫細胞(白血球)が「敵だ!」と判断して攻撃します。この戦いの中で、なんと白血球自身が乳酸を出すのです。

乳酸が出ると関節の中が酸性になります。尿酸は酸性の環境でさらに結晶化しやすくなるので、痛みと炎症がどんどん強まる悪循環が生まれます。

CHIKA

痛風は「一度なったら繰り返しやすい」と言われますが、こういうしくみが背景にあるんですね。

悪循環のイメージ

痛風発作 → 白血球が戦う → 乳酸が出る → 関節内が酸性に → 尿酸がさらに固まる → 炎症が悪化

だから「水をよく飲む」はサボれない

ここまで読んでいただくと、「水分補給って、単に喉が渇くから飲むだけじゃないんだ」と感じてもらえると思います。

水分補給が大事な理由
  • 水分をしっかり摂る → おしっこの量が増える → 尿酸が薄まって出ていきやすくなる
  • 脱水を防ぐ → 血液中の尿酸が濃くなるのを防げる
  • 乳酸による「出口の渋滞」を和らげる助けになる

痛風・尿酸財団や慶應義塾大学病院でも「1日の尿の量が2リットル以上になるくらい水分を摂ること」が推奨されています(腎臓や心臓の病気がある方は医師に相談を)。

「何か特別なことをしなきゃ」と思いがちですが、まず毎日の水分補給をきちんとすること。これが遠回りに見えて、一番確実なアプローチだったりするんですよ。

まずは今日から、お酒を飲むとき・激しい運動をしたとき・汗をかいたとき——この3つのタイミングだけでも、水分補給を意識してみてください。それだけでも、体への向き合い方が変わってきます。

まとめ

  • 尿酸は食事だけじゃなく、体の中で自然に作られる(全体の7〜8割)
  • 腎臓には尿酸の「出口係」がいて、乳酸が増えると尿酸を体内に引き戻してしまう
  • アルコール・激しい運動・脱水は乳酸を増やす3大原因
  • 「プリン体ゼロでも尿酸値が上がる」のは、乳酸のしくみが関係している
  • 痛風発作中も乳酸が増えて悪循環になる
  • 毎日の水分補給は、このしくみに対するシンプルで続けやすい対策のひとつ

しくみはわかったけど・・じゃあ、実際に何を飲めばいいの?

という方には、本館「ようこそ還元くんの世界へ」の記事「尿酸値が気になる方に還元茶はいい?水分補給と尿酸の関係を考えてみた」もあわせて読んでみてください。還元茶やメビウスウォーターを水分補給として取り入れる考え方をまとめています。

もちろん、痛風や高尿酸血症の治療は必ず医師に相談しながら進めてみてください。この記事はあくまで「しくみを知って、日常生活に活かす」ためのものです。

よくあるご質問

Q. 女性でも痛風になりますか?

A. はい、なることがあります。痛風は男性に圧倒的に多い病気ですが、閉経後の女性は女性ホルモンの低下により尿酸の排泄が抑えられるため、尿酸値が上がりやすくなります。また、利尿薬などの薬の影響で尿酸値が上がる場合もあります。「女性だから関係ない」とは言い切れないので、健康診断の尿酸値は年齢を重ねるにつれてチェックしておくと安心です。

乳酸と尿酸の関係

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

CHIKAのアバター CHIKA 薬剤師

薬剤師CHIKA

2025年まで、現場の薬剤師として勤務。薬剤師歴はトータル25年以上。
日々の患者さんとの対話を通して、「薬に頼りすぎない健康」の大切さを実感しています。

このサイト「薬剤師CHIKAの部屋」では、食事・生活習慣・自然な健康法などについて、薬剤師の視点からわかりやすく解説しています。

また、「ようこそ還元くんの世界へ。」という情報発信ブログと
CHIKACHAN HOUSEというショップも運営しています。

20代で慢性関節リウマチを発症しましたが、さまざまな試行錯誤を経て克服しました。

その経験もふまえ、「体を整える」という視点から健康や暮らしに役立つ情報を発信しています。

目次