新型コロナウイルスの重症患者に対しても現在使用されている「アクテムラ」という薬。実は、この薬には私自身大変お世話になった経験があります。
私は関節リウマチの診断を2005年に受けていますが、症状が最もひどく辛かった時に、この薬を使いました。生物学的製剤というジャンルがまだ出始めた頃でとても迷いましたが、初期にアクテムラを使ったおかげで、今の元気な自分があることは間違いありません。
それだけに、「この薬が新型コロナにも使われるのか」と驚きました。
アクテムラとはどんな薬?
アクテムラ(一般名:トシリズマブ)は、中外製薬が開発した日本発の薬です。この薬は「生物学的製剤」と呼ばれるカテゴリーに属しており、関節リウマチをはじめとする8つの病気に対して承認されています。(2025年1月現在)
生物学的製剤とは、化学合成ではなく、生物が作り出すタンパク質などを利用した薬を指します。予防接種で使われる一部ワクチンやインスリンなどもこの仲間に含まれます。
新型コロナとアクテムラの関係
一時期かなり騒がれましたが、新型コロナウイルスに感染すると、「サイトカインストーム」と呼ばれる免疫の過剰反応が原因で、重篤な肺炎を引き起こすことがあります。これは、免疫が過剰に働きすぎてしまい、自分自身の体を攻撃してしまう現象です。(一般的にはこういわれてますが、私自身はワクチンの弊害だと思っています)
アクテムラは、この免疫反応を抑える効果があります。特に、「インターロイキン6(IL-6)」というタンパク質の働きを抑えることで、炎症や痛みを軽減します。この仕組みが、新型コロナの肺炎重症化を防ぐようです。
関節リウマチに対しては炎症を抑えることにより、最終的には関節破壊の防止を目的としています。
アクテムラの使用経験
私がアクテムラを使っていた当時は、まだ発売されたばかりで点滴のみでした。1回の点滴治療に1時間ほどかかり、費用も1回約5万円(3割負担の場合)と高額でした。これを毎月、ほぼキッチリ4週毎に点滴せねばならず。。
それでも、この薬を使うことでリウマチによる痛みや炎症から解放され、生活の質が大きく向上したことに感動したことを覚えています。
アクテムラの前に発売されていた「レミケード」「エンブレル」は自分のカラダに合わず、ようやく合った生物学的製剤がアクテムラだったんです。
腫れて浮腫んでいた手の指が元に戻り(パソコンのキーボードも打てませんでした!)、関節の痛みが全くなくなり走る事もでき、体のダルさもなくなり。。
ただし、注意点もあります。一つは副作用で、間質性肺炎という重篤な症状が稀に起こること。
当時の主治医に「間質性肺炎はどうやったら予防できるんですか?」と聞いたら「この薬を使っているリスクだから、咳がでたりしたら直ぐに病院に来た方がいい」と答えになっていない答えを返されました。
咳が出るということは、間質性肺炎になりかかっているということで、それじゃあ遅いのでは・・?
あとは「絶対に風邪をひかないように」と。
また、効果が実感できるまでにちょっと時間はかかりましたね(私の場合は2か月くらいでした)。(人によってはそれ以上かかることもあります。)それでも、リスクと利益を慎重に天秤にかけながら、この薬を数年使い続けてきました。
なぜアクテムラを中止したか
このお薬は「自分の免疫を落とすこと」でリウマチの痛みや炎症を抑えています。つまり「隠している」ことに過ぎないのです。
また、添付文書(薬の説明書)を読めば読むほど「ずっと使い続けてはいけない」と思っていました。
若い時はいいけれど、これから先ずっと使い続ければ「常に自己免疫力が落ちている」状態なわけです。
こうなると色々な病気に抵抗もできないカラダで、いつか良くないことが起こることは想像できました。
リウマチの根本原因は「よくわからない」と未だに言われていますが、「自分の免疫が自分を攻撃する」ということは無いのでは??と私はずっと思っています。
一説によるとリウマチの根本原因はEBウィルスの一種であることも示唆されており、それらを排除、もしくは勝てる体づくりをしたほうが良いと思ったんです。
なので、症状を見つつ段々とアクテムラの量を減らし、点滴の間隔も長くして、最終的には中止しました。(理解あるドクターで助かりました~)
最後に
薬は、リスクと利益をしっかりと見極めて適切に使うことが大切だと思います。私自身がアクテムラの恩恵を受けたように、この薬が多くの患者の命を救う、または生活の質を向上させる一助となることを願っています。
ちなみに、アクテムラは製造過程で「カツオ」が使われていますが、これは日本人の体質に合っているのかもしれません。面白いですよね。