ある時ふと、「良いお医者さんてどんなお医者さんだろう?」と考えました。
自分が過去に慢性関節リウマチの患者で病院通いをしていた時、「とにかく痛みを取って欲しい」ということだけが通院の目的でした。
しかし薬剤師という目線・立場になったとき「こんなに強い薬をポンポン処方するお医者さんってどうなの・・?」と思ったりもします。
今回は自分の経験も踏まえ、患者目線、薬剤師目線で考える「良いお医者さん」のポイントを3つづつ挙げてみました。
患者目線
「とにかく今の苦しみから解放してくれるお医者さん(きちんと技術や知識があるお医者さん)」
リウマチの痛みというのは、とにかく全身が朝から晩まで、寝ている時も痛い!!という厄介なものです。
しかもそれは体の表面に出てくるものではないので、他の人から見ると表面上は全くわからないんですよね。
逆に重度のアトピー性皮膚炎の方などは「表面に」でてきているわけですが、その分の辛さというものがあります。
いずれにしても痛みや痒みというのは酷くなってくると到底我慢できるものではなく、生活の質もかなり落ちてしまいます。
こんなとき、やはり医療の力って絶大です。
手術で今までの辛さから解放されたとき、ずっと苦しんでいた悩みから(薬で一時的にでも)解放されたとき、やっと思考も判断力も元に戻ります。
東洋医学、自然治療で回復できるレベルを超えてしまった時、西洋的な医学が役に立つことが多々あります。
「自分の苦しみをわかってくれる、共感してくれるお医者さん」
最近はパソコンの画面だけを見て診断を下すお医者さんが少なくないと思います。
自分が体の異変に気付いて病院に行ったときに出会った初めのお医者さんがこんなタイプでした。
症状と今までの経過をダーッとパソコンに打ち込んで、
「じゃあ血液検査しますから。結果は3日後ね。予約取ってまた来て。今日はとりあえず薬出しとくので」
って(笑)
おいおいおい・・・って思いました。
わかるけど、機械的すぎじゃない?もうちょっと人間味ある言葉をかけてよ、って。
まあね、お医者さんも忙しいし患者さんも他に沢山いるから大変だとは思うけど。。
結果的にこの病院での治療は、永遠に痛み止めを出されるばかりで、根本的な解決に繋がらないと思ったので(そのうちに指が曲がってきてしまいました)、他の病院を探して行くことに。
もう、どうせなら日本全国どこでも、症例が豊富で日本一の治療をしているところに行きたい!と思って必死に探しました。
そうして行った病院では、お医者さんが開口一番「あああああ!大変だったねえ!!痛いしだるいし、辛かったでしょう!ちょっと指も曲がり始めているね!悪いけど、血液検査とエコーとらせてもらってもいいかな?」
こちらが引くくらいオーバーリアクションなお医者さんでしたが、この一言で私は本当に救われました。
今までの辛さをわかってもらえた!と感じられたからです。
これが、お医者さんのリップサービスだとしてもいいんです。
「共感してもらう」って本当に嬉しいことだと思いました。
そして、検査の結果こんな話をされました。
これは、ちょっと珍しいタイプのリウマチだね。血液検査にはあまりはっきりした数値がでてこないから、今まで診断が付きづらかったのかもしれない。
ああ、だから前のお医者さんは痛み止めしか出してくれなかったんだとわかりました。
慢性関節リウマチの薬は、ハッキリ言って「毒」です。
でも、この毒を以て症状を抑えていくのですよね。だからきちんと診断がつかなければ、患者の体に「単なる毒」を入れることになってしまいます。
毒と薬は紙一重なのです。
ちょっと話がずれましたが、「共感してくれるお医者さん」って皆さんの周りにはいますか?
「何でも相談できるお医者さん」
これは薬局にいらしている患者さんが言っていたお話です。
頭が痒いから何か薬出してって先生に言ったら「専門外だから」と言って何もしてくれなかった。
昔のお医者さんって、ホームドクターみたいな感じで何でも一通り診てくれたイメージがありますが、今はみんな「専門」にわかれていて、ちょっとしたことでも「〇〇科に行きなさい」と言われてしまったりします。
ちょっとくらい何か薬出してくれてもいいのにねえ
と話していました。
これはどうやら近年の医学部の教育システムに問題があるのだ、、と友達のお医者さんが言っていましたね。
昔は国家試験に合格したら、いろんな科で勉強ができたけど、一時「専門」にビシッと分けられてしまった時期があって「専門の事」しかできなくなったお医者さんが増えた・・と。
しかしながら、やはりそれではまずいということで色々な科目を診れるお医者さんを養成しようという学会もでてきました。
あとは在宅医療をされているお医者さんは一通り相談にのってくれることが多い印象です。
薬剤師目線
さて薬剤師という職業目線から見た良いお医者さん。
「薬をきちんと理解した上で使ってくれるお医者さん」
これはなかなか大きな課題だと思います。
お医者さんになるには、薬の事より体のことを勉強しなければならず医学部の過程ではほぼ薬の事を勉強する時間がないのだそうです。
製薬会社が宣伝に来たから、自分が使いやすい薬だから、、という理由で薬を選んでいるお医者さんも多い印象です。
さらには「併用禁忌(へいようきんき)」といって、絶対に飲み合わせてはいけない薬の組み合わせがあるのですが、全く無視して処方をしてしまったり。
ちなみに私が今までに「この先生はすごいなあ」と思った内科のお医者さんで、血圧を的確に下げるというお医者さんがいました。
血圧の下げすぎが問題視されている昨今ですが、やはり「上の血圧が250」とかはさすがにまずいと思います。
で、この患者さんはどの病院に行って薬を出してもらってもうまく血圧がさがらず、最終的にこのお医者さんの所できちんと診てもらった結果、ストンと血圧がおちていました。
それ以降も同じような話をたびたび耳にしましたね。
「自分のところで患者さんを抱え込まないお医者さん」
患者目線から見た場合良いお医者さんである「何でも相談できるお医者さん」とちょっと矛盾しているように思われますが、そうではありません。
まず相談にのってくれて、そこから自分で判断できない事は他の病院に紹介状を書いてくれるなり、他のお医者さんを紹介してくれるなりする・・というのが理想でしょうか。
しかし「自分の所で抱え込む」「患者を逃がさない」というお医者さんは結構多いように思います。この場合、暫く通って改善しなければ、他の病院を探すことをおススメしますね。
・・といって、ドクターショッピングになってしまっても良くないのですが。
過去に知り合いが急に便秘になり、かかりつけのお医者さんから便秘薬を出してもらっていました。
しかし、ある時急に下血し、なんと大腸がんだったことが判明。
これは私もショックでした・・単に便秘薬だけ飲んでいたらダメだったんです。
その知り合いのかかりつけのお医者さんからは「まあ便秘薬のんでおけば大丈夫だから」と言われていたようですが、通っていた薬局の薬剤師からは「少しちゃんと見てもらったほうがいい」とずっと言われていたようです。
調剤薬局は、色々な病院の処方箋が持ち込まれます。つまり色々なお医者さんが処方した薬を数多くみており、色々な科の患者さんと話をします。
客観的にみて「これはもう少し専門的にみてもらったほうが良い」ということが多々あるのですよね。。なので、薬剤師からこんなアドバイスがあったら是非耳を傾けてほしいです。
「わからないことはわからないとキチンと言ってくれるお医者さん」
セカンドオピニオンという言葉があります。これは、現在の主治医以外の先生にも意見を求めるという制度です。
今は一般的になってきましたが、一昔前はこれを嫌がるお医者さんが多かったですね。
「俺の見立てが間違っているというのか!」と言われたとおっしゃっていた患者さんもいました。
でも、患者側からすると「治る」ことが最終目的なので、その過程で色々なお医者さんの見立てを聞いて参考にするというのは必要な事だと思います。
ハッキリ言って、お医者さんによって全く見立てが違うことも結構あります。
(自分の場合もそうでした)
特に癌の治療方針などを決めるときは絶対にセカンドオピニオンをお勧めしますね。
「わからないから他で詳しく見てもらってね」「わからないからちゃんと調べてから回答するよ」という姿勢が垣間見れるお医者さんはすばらしいなと思います。
もちろん専門職である以上、標榜している診療科目について「わからない」を連発されるとそれはそれで不安になりますが・・。
まとめ
と、いうわけで自分の経験を踏まえて、良いお医者さんの選び方を考えてみましたが、皆さんはいかがですか?
最近はYouTubeなどでも動画をアップしていたりするお医者さんがおられるので、そんなのも参考になるかもしれませんね。
人が生活していく上で、医療は必要不可欠だと思います。自分なりの判断基準をもってより良い医療を受けたいものですね。