疲れが抜けない。朝起きても体が重い。集中が続かない——40代以降でよく聞くお悩みです。背景の一つに、体内でじわじわ続く低度の慢性炎症が関わることが示されています。
炎症は多因子ですが、生活習慣の整え方で“炎症ドライバー”を静めるアプローチは可能です。私は薬を勧めない薬剤師として、「おいしい予防医学」をモットーに、日々の食卓でできる小さな工夫をご提案したいと思います!
今回は、スパイスの力を借りた「抗炎症スパイスカレー」にフォーカス。ターメリック(クルクミン)、ショウガ(ジンゲロール)、クミン、コリアンダー、シナモンなどを上手に組み合わせ、体にやさしいエネルギー回復をねらいましょう。最後にお勧めの有機カレーパウダーもご紹介しています!
慢性炎症とは?
長く続く軽い炎症は、疲労感や倦怠、集中力低下と関連します。体の中で「火事」がずっと小さく続いているような状態ですね。

外見ではわかりにくいですが、免疫系が過剰に反応し続けていることが多いです。
原因は睡眠不足、心理的ストレス、過度の精製糖・脂質摂取、運動不足、ウィルス感染など。一撃で治す魔法はありませんが、全体的に少しずつ“炎症負荷”を下げることが現実的。*PMC
原因を一つ一つ改善していくことも必要ですし、体の中で少しでも炎症を減らすことが期待できるものとして「抗炎症作用のある食材を食生活に取り入れること」も効果的ですよね。
「慢性的な疲れ」とウィルス感染
ちなみにウイルス感染(例:EBウイルス)後に免疫系が過剰に働き続け、神経系とホルモン系のバランスが崩れることが疲労感を長引かせる原因という話もあります。
成人の約9割はEBウイルス(EBV)既に感染しているとも言われています。
普段は私たちの免疫力で抑えられているウィルスたちは、免疫力が弱ると暴れ出します。その結果、帯状疱疹を初めさまざまな症状が出るのですね。
なので、自分自身の免疫力を保つことが何より重要!
抗炎症作用が期待できる食材の例
この「慢性的な疲れ」の原因となる、体の中の炎症を鎮めるために助けとなる食材は例えばこのようなものがあります。
カテゴリ | 食材例 | 主な有効成分 | ポイント |
---|---|---|---|
発酵食品 | 納豆、味噌、ヨーグルト、キムチ | 乳酸菌、ナットウキナーゼ | 腸内環境改善で炎症を抑制 |
抗酸化食品 | ブルーベリー、ザクロ、カカオ70%以上のチョコ、緑茶 | ポリフェノール | 活性酸素を除去し炎症を抑える |
高オメガ3脂肪酸 | サバ、イワシ、亜麻仁油、チアシード | EPA・DHA・ALA | 炎症性サイトカインを減らす |
ビタミン・ミネラル | ブロッコリー、ほうれん草、かぼちゃ | ビタミンC、E、マグネシウム | 抗酸化・抗炎症作用を強化 |
スパイス | ターメリック(ウコン)、ジンジャー | クルクミン、ジンゲロール | NF-κB経路を抑制し炎症を抑える |
蜂蜜 | 高品質な生蜂蜜 | フラボノイド、抗菌成分 | 腸内環境を整え免疫バランスを改善 |
一例をあげましたが、どの食材もバランスよく摂るのがポイントです。
この中で今回は「スパイス」について取り上げています。
慢性疲労ケアに“食べる抗炎症”という選択肢
例えば「桂皮(けいひ)」という、漢方薬の処方の中で使われる生薬がありますがこれは「シナモン」のことです。
「生姜(しょうきょう)」はショウガですが、「ジンジャー」とも呼ばれていますね。
このように、漢方の処方の中で使われる生薬は国が変わればスパイスとして毎日の生活の中に取り入れている国もあるわけです。「薬味」なども形は異なりますが同じですよね。



「医食同源」というのは本当にその通りですね!
主なスパイスの役割
・ターメリック(ウコン):抗炎症・抗酸化の報告
・ショウガ:血流促進で体を温める、抗炎症、鎮痛作用
・黒コショウ:消化促進や代謝アップ、抗酸化作用
・シナモン:血糖コントロール、抗菌・抗ウイルス作用、血流改善、記憶力サポート
・クローブ:強力な抗菌作用、消化促進、鎮痛作用、抗酸化力
・カルダモン:消化促進、口臭予防、リラックス効果
【参考】スパイスの科学的裏づけ
- ターメリック:肝臓のサポート、関節炎の緩和、抗酸化作用、脳機能のサポート
- ショウガ:体の炎症を示す目安:CRPやTNF-αの値を低下させるメタ解析あり。
- 黒コショウ:ピペリンがターメリックの主成分であるクルクミンの吸収を助ける可能性。
- シナモン:2型糖尿病で血糖指標の改善を示すメタ解析あり。ただし、産地などにより有効成分が含まれていないこともあるので製品選びは注意が必要。
- クローブ:主成分:ユージノールの抗炎症作用は主に前臨床段階。
・・・etc.



「メタ解析」は、色々な人が行った同じテーマの研究を全部集めて、“まとめて比べて、ひとつの答えを出す”方法のことです!
吸収率アップのコツ
ターメリック(クルクミン)は脂溶性。油と一緒に、さらに黒コショウ(ピペリン)少量を合わせると吸収が上がります。
小規模ヒト試験で、2gのクルクミン+20mgピペリン同時投与で血中暴露が約20倍になった報告があります(条件限定)。*PubMedPMC
香りをよく引き出せば食欲増進にも繋がります。
基本レシピ(やさしい仕様)
オリーブオイル(またはギー)で玉ねぎ・にんにく・生姜を炒め、ターメリック・クミン・コリアンダーを“テンパリング”して香りを引き出す。トマトと緑黄色野菜を加え、たんぱく源は青魚や鶏むね・豆類を選ぶと消化が軽く続けやすい。仕上げに粗挽き黒コショウをひと振り。*PMC
こんな感じで冷蔵庫にある野菜を炒めて、そこにパッとスパイスを振るだけでも全然違うと思います!
3. 食べる薬的にたのしむ——スパイスカレーガイド
調理と吸収性
・上記にも挙げましたが油でテンパリングして脂溶性成分を引き出す。
・黒コショウは“ひと振り”でOK(摂りすぎは胃腸刺激に注意)。



サプリは単一の成分が必要量以上に沢山入っている可能性もあります。薬との相互作用(抗凝固薬・糖尿病薬など)に注意が必要な場合も。
スパイスは食品としてほどよく使うのが基本だと思います。
保存と衛生(ここは重要!)
「作り置きで熟成が進み体に良い」は誤解。家庭の冷蔵は“微生物増殖を抑える”保存にとどまります。加熱済みカレーでも冷蔵3~4日以内を目安に食べ切りましょう。
ポイント
胃腸が疲れている日は、油を控えめにして野菜と豆を主役に。元気な日は青魚や鶏むねでたんぱく質も。「無理なく、おいしく、続けられる」がいちばんの抗炎症です。
スパイスカレーは、単なるトレンド食ではなく、古代の知恵と現代の科学が融合した「医食同源」の真髄とも言えるでしょう。



美味しく食べながら体をより良く保てる、まさに一石二鳥の料理だと思います!
おすすめの有機カレーパウダー
・・と、ここまで書いておきながら、これらのスパイスを一つ一つ入手するのはちょっと大変だと思います。
そんな時は市販のカレーパウダーを使ってみましょう。
日本のカレールーとは異なり「純粋なスパイスだけで作られたスパイスパウダー」です。
実はこのカレーパウダーを作られた方にお会いしてお話を伺ったことがあるのですが、それはそれはとても大変な病歴をお持ちの方です。
漢方薬やそのほか多くの健康法を実践されて今に至るようですが、一番困ったのが「アレルギーのため食べられるものが殆どなかった」と。
味付けなども使える調味料などは多くなく、その中でよくお使いになったのが「スパイス」だったのだそうです。
しかし、日本で流通しているスパイスは蓋をあけてみるとえっ!?と驚くものばかり。更に、船便で入ってきているため酸化していることも多いのだそう。本来の香りや効能までが失われているのではないかと思いました。
そこで、今回ご紹介するこのカレーパウダーの特徴は
・原材料全てが栽培期間中農薬不使用
・空輸でフレッシュなものを持ってきている
ことにあります。
そのため、香りを嗅いだ時はビックリしました。特にカルダモンの香りが・・・!なんとも良い香り。



このパウダーだけを使って一からカレーを作ろうと思うと結構面倒な点もあるので、お勧めは「追いカレー」。
つまり、いつものカレーの最後にこのパウダーを加える感じです。
案件でもなんでもないのですが、皆さんにも美味しく安全に抗炎症していただきたく、お勧めをご紹介させていただきました!
自然食品を取り扱っているショップさんなどでも、買えるようになるといいですね~!