漢方薬は、古くから東洋医学に基づいて発展してきた自然治療の一つです。現代でも、多くの人々が漢方薬を利用して健康を維持し、様々な症状を改善しています。今回は、漢方薬の効果と魅力について詳しくご紹介し、自然治療の魅力に迫ります。
1. 漢方薬とは?
漢方薬の歴史
漢方薬は、中国古代の医学書「神農本草経」にその起源を持ちます。日本に伝わったのは6世紀頃で、その後、独自の発展を遂げました。漢方薬は、自然界に存在する植物、動物、鉱物を原料とし、それらを組み合わせて作られます。
漢方薬の基本原則
漢方薬は、「証」という概念に基づいて処方されます。証とは、体質や症状の状態を指し、一人ひとりに合った治療法を見つけるための基準です。漢方薬は、全体的なバランスを重視し、体の自然な治癒力を引き出すことを目的としています。
2. 漢方薬の効果
症状改善の実例
漢方薬は、様々な症状に対して効果があります。以下に、いくつかの具体的な例を挙げます。
- 冷え性の改善:当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や温経湯(うんけいとう)は、血行を促進し、体を温める効果があります。
- ストレス解消:加味逍遥散(かみしょうようさん)や柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)は、精神的な緊張を和らげ、リラックス効果をもたらします。
- 胃腸の不調:六君子湯(りっくんしとう)や半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)は、胃腸の働きを整え、消化不良や胃痛を改善します。
- 足のつり:芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は即効性があります。
体質改善
漢方薬は、症状の改善だけでなく、体質改善にも効果があります。長期的に服用することで、体のバランスが整い、病気にかかりにくい健康な体を作ることができます。
3. 漢方薬の魅力
自然由来の成分
漢方薬は、自然界に存在する植物や動物、鉱物を原料としているため、副作用が少ないのが特徴です。自然の力を借りて、体の内側から健康をサポートします。
個別対応の治療
漢方薬は、一人ひとりの体質や症状に合わせて処方されるため、個別対応の治療が可能です。西洋医学のような画一的な治療ではなく、その人に最適な処方を見つけることができます。
いわば「オーダーメイド」です!
心と体のバランスを整える
漢方薬は、体だけでなく心の状態にも働きかけます。ストレスや不安を和らげる効果があるため、心身のバランスを整えることができます。
たとえば「葛根湯」など、最後に「湯」がついた処方は、顆粒タイプのものでもお湯に溶かして飲むと良いです。
蒸気に含まれるその香りを嗅ぐことによる効果もあるんです。
4.本物の漢方医は”病気”ではなく”人”を診る
これは、私が尊敬する先輩の薬剤師の方々が同じように話していた事です。
「病気ではなく人を診る」っていい言葉ですね。
ちなみに普通の病院に行くと、漢方を処方されるにしてもこんなやり取りだと思います。
今日はどうしました?
ここのところ、ずっと頭痛が続いていて・・
そうですか。じゃあ、ちょっと漢方を飲んで様子をみてみますか?
わかりました。漢方は体に優しそうだし、試してみます。
実際はここまで単純ではなく、その他問診やら検査やら行いますが、検査などで特に問題がなければ概ねこんな流れだと思います。
ここで薬剤師の立場からすると驚くのが、「頭痛」という病名で漢方を処方しているドクターがなんと多いことか。
これが「病気だけみて人を見ず」なんだと思います。
例えば、患者さんの体型は一人一人違うのでその体型に合ったものを処方しなければなりません。そして「陰と陽」の観点から、その患者さんに必要なのは「体を温める処方」なのか「体を冷やす処方なのか」を見極めたりします。
これは、西洋医学からの観点では判断するのは難しい部分も多いです。
「頭痛なら、呉茱萸湯(ごしゅゆとう)、釣藤散(ちょうとうさん)、五苓散(ごれいさん)」といった単純なことではないのです。。
そのあたりのことを、現在96歳の薬剤師であり鍼灸師の先生が話してくださっている動画があるので是非ご覧ください。この先生は現在も患者さんからの相談にのっておられます。
「人を診る」ということについて、貴重なお話を沢山してくださっています!
4. 漢方薬の選び方
そんなわけで、漢方で本格的に治療を行うのであれば下記のポイントをご参考に。
漢方専門医または漢方薬局へ行く
漢方薬を選ぶ際は、専門家の相談を受けることが大切です。
1.漢方専門医
近年は東洋医学、漢方に特化した専門の科をもつ大学病院も増えてきました。
「東洋医学 大学病院」などと検索してみるとお近くの病院を探すことが出来ると思います。
大学病院でなくとも、街のクリニックなどでも「漢方専門医」のドクターがおられますのでこのようなお医者さんにかかることをお勧めします。
2.漢方薬局
こちらは薬の専門家である薬剤師が相談にのってくれます。病院よりも気軽に相談しやすいと思います。
市販の漢方薬
最近では、市販の漢方薬も多く販売されています。信頼できるメーカーの商品を選び、使用方法を守って正しく服用しましょう。
5. 漢方薬の注意点
長期的な視点でも
漢方薬は、長期的な視点で継続して服用することが大切です。また、定期的に体の状態をチェックし、必要に応じて処方を見直すことも重要です。
「漢方は即効性がない」と言われることがありますがそんなことはありません。
ご自身の「証」とピッタリ合っていればかなり即効性を示すものもあります。
ただ、「体質改善」も目的の一つとしていますので、そういった意味ではご自身の体と向き合いつつ長期的な視点を持つことも大事だと思います。
他の薬との併用
漢方薬を服用する際は、他の薬との併用についても注意が必要です。特に、西洋医学の薬を服用している場合は、漢方専門医や薬剤師に相談することをお勧めします。
まとめ
漢方薬は、自然の力を借りて体と心のバランスを整える優れた治療法で、長年人間が蓄積してきた智慧の賜物です。自分の体質や症状に合った漢方薬を見つけることで、健康的な生活を送ることができます。専門家の相談を受けながら、漢方薬の魅力を最大限に活用してみましょう。